水中エアロビクス(有酸素運動)により、過体重や肥満の人の体重が2.7kg程度減り、ウエスト周囲径も2.75cm細くなったとする研究結果が報告された。論文の上席著者である国立釜慶大学校(韓国)のJongchul Park氏は、「10週間以上の水中エアロビクスによる介入により、試験参加者の体重とウエスト周囲径が大幅に減少した」と述べている。この研究の詳細は、「BMJ Open」に3月11日掲載された。
Park氏らは、論文データベースを用いて、過体重または肥満の人を対象に水中エアロビクスが人間の身体計測値(体重、ウエスト周囲径など)と体組成に与える影響を、他の介入や何もしない場合と比較したランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューを実施し、10件を選出(対象者の総計286人)。これらのRCTのデータを抽出した後、メタアナリシスを行い、過体重や肥満の人における水中エアロビクスの効果を評価した。
これらのRCTで対象者は、1セッション当たり1時間程度の、水中エアロビクス、水中ズンバ、水中ヨガ、水中ジョギングなどの水中運動を、週に2〜3回、6~12週間にわたって行っていた。研究グループは、水中エアロビクスは、水の浮力により陸上での運動中に起こり得る関節へのダメージが軽減されるため、特に過体重や肥満の人には有効だと述べている。
その結果、水中エアロビクス群では対照群と比べて、介入により体重が平均2.69kg減少し(加重平均差−2.69、95%信頼区間−4.10〜−1.27、P<0.05)、水中エアロビクスが減量に有効であることが示唆された。また、水中エアロビクス群では対照群に比べてウエスト周囲径も2.75cm減少していた。(同−2.75、−4.41〜−1.09、P<0.05)。一方、BMIなど他の指標に対する水中エアロビクスの効果は認められなかった。
ただし研究グループは、本研究対象者に男性が占める割合は非常に低かったため、水中エアロビクスにより男性も同様の効果を得られるのかを判断することはできないと述べている。それでも研究グループは、本研究の全体的なエビデンスは、「肥満関連の健康リスクの管理において重要な要素である体重と中心性肥満の改善に、水中エアロビクスが効果的な介入策となることを支持するものだ」と結論付けている。
研究グループは論文の結論部分において、「水中エアロビクスは過体重や肥満の人にとって重要な運動の一つであり、体組成と全体的な健康の改善に大きな効果をもたらす」と述べている。また、水中エアロビクスの潜在的な利点をより深く理解するためには、より多くの人を対象に研究を行うことが必要だとし、「水中エアロビクスの長期的な効果を調査し、その有効性を他の運動方法と比較することで、貴重な洞察が得られるだろう」と付言している。
[2025年3月12日/HealthDayNews]Copyright (c) 2025 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら