入園時に語彙力の高い園児はクラスでの振る舞いも良好

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2022/09/15

 

 プリスクール(幼稚園・保育園)への入園時点で語彙力と集中力が高かった小児は、入園後のクラスでの活動内容も優れていることが、900人弱の4歳児を対象とした研究で明らかにされた。研究論文の筆頭著者で米オハイオ州立大学のQingqing Yang氏は、「入園時点での語彙と衝動コントロールのレベルは、教室でのさまざまな取り組みにおいて重要である」と述べている。この研究結果は、「Early Education and Development」に8月16日掲載された。

 この研究は、米国の8州に位置する10カ所の施設、計223クラスから集めた人種や民族の多様な小児895人(女児443人、男児452人)を対象に実施された。研究グループは、秋の入園時と翌年の春に、小児の衝動コントロール力や語彙力を評価した。衝動コントロール力は、教員が鉛筆を2回タップしたら1回、教員が1回タップしたら2回タップするよう小児に指示するテストで、また、語彙力は、絵に描かれた物の名前を小児に言わせるテストで調べた。また、クラスでの小児の様子を約4時間観察し、教員、友達、課題への関わり方を評価した。

 その結果、入園時に高い語彙力を身に付けていた小児は、教師や友達と、社交性やコミュニケーション能力などの点でポジティブな関わり方を示した。また、入園時に不適切な行動を抑制する能力の高かった小児は、教室での課題に積極的に取り組み、教師や友達と言い争う、課題に集中しないなどのネガティブな関わり方をすることも少なかった。このほか、教室で先生や友達、課題に対してネガティブな関わり方をする小児では、春になって身に付いている語彙力や衝動コントロール力の低いことが示唆された。さらに、教室でのネガティブな関わり方は、小児の入園時の衝動コントロール力の低さと翌年の春での語彙力および衝動コントロール力の低さとの関係を媒介していることも分かった。

 Yang氏は、「この研究により、入園時の小児の語彙力と衝動コントロール力が教室での教師、友達や課題との関わり方において重要なことが明らかになった。入園時に衝動コントロール力と語彙力が低かった小児は、その後、さまざまな逸脱行動をするリスクが高いようだ。このことは、教員がネガティブな関わり方をするリスクが高い小児を認識しておく必要性を示唆している。また、全ての小児がクラスでの活動に関われるように促していくことも必要だ」と話す。

 研究グループは、「小児のスキルや経験を早期のうちに改善することが後の学業成績に大きな影響を及ぼす可能性がある」と指摘し、「支援の必要な小児を早期に特定し、そうした小児を適切にサポートできる教員の訓練を行うことも検討すべきだ」と主張している。

[2022年8月17日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら