BMIは全身の肥満度を評価する指標として広く用いられているが、体組成や脂肪分布を反映しにくく、心血管疾患(CVD)リスクの異質性を見落とす可能性がある。腹囲やウエスト・ヒップ比(WHR)は中心性肥満の代替指標であり、BMI区分と一致しない場合も少なくない。そこで、米国・Johns Hopkins Ciccarone Center for Prevention of Cardiovascular Diseaseの Zeina A Dardari氏らは、BMIの標準体重・過体重・肥満区分を腹囲およびWHRで再分類し、9つのCVD関連アウトカムに対する予後的意義を検討した。その結果、腹囲およびWHRは従来のBMI区分におけるリスクの過小・過大評価を同定し、CVDリスクの再分類に有用であることが示された。本研究結果は、Journal of the American College of Cardiology誌2026年8月11日号に掲載された。
本研究は、Cross-Cohort Collaboration(CCC)に参加する15コホートのデータを用いて行われた。対象は、腹囲またはWHRの調和済みデータを有し、9つのアウトカム(致死的・非致死的心筋梗塞、致死的・非致死的脳卒中、心不全、心房細動、全冠動脈疾患、全CVD、冠動脈疾患死亡、CVD死亡、全死亡)の少なくとも1つについて追跡可能であった25万9,388人とした。BMI区分別に、臨床的に高値と定義される腹囲またはWHRの有無で対象者を分類し、多変量Cox比例ハザードモデルにより各アウトカムのハザード比(HR)を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・腹囲データを有する対象者は25万9,351人、WHRデータを有する対象者は21万8,984人であった。追跡期間中央値は20.0年(95%信頼区間[CI]:12.7~23.5)であった。
・BMIで標準体重に分類された対象者のうち、高腹囲は5%、高WHRは18%に認められた。過体重に分類された対象者では、高腹囲が39%、高WHRが40%であった。
・BMIで肥満に分類された対象者のうち、低腹囲は9%、低WHRは45%に認められた。
・BMIで標準体重または過体重に分類された対象者では、臨床的に定義された腹囲またはWHRが高値の場合、多くのアウトカムでリスクが15~50%高かった。
・BMIで肥満に分類された対象者のうち低腹囲を有する集団では、標準体重かつ低腹囲の集団と比較して、全死亡を除き有意なリスク差は認められなかった。全死亡については、低腹囲を有する肥満集団でリスクが有意に低かった。
・男性とは対照的に、肥満だがWHRが低い女性は、正常体重でWHRが低い女性と比較して、すべてのアウトカムでリスクが有意に高かった。ただし、HRは肥満かつ高WHRの集団より小さかった。
・BMIで肥満に分類された対象者における高腹囲または高WHRに関連する集団寄与リスクは13~49%の範囲であった。
・集団寄与リスクの推定値が最も高かったのは、高腹囲に関連する心不全および心房細動であった。
本研究結果について著者らは、「腹囲およびWHRは従来のBMI区分における誤分類を同定し、標準体重、過体重、肥満の各区分を横断してCVDリスクを再分類することで、診断的および予後的価値を付加する」とまとめた。
(ケアネット 土井 舞子)