日本人Lp(a)の実態解明、2つのカットオフ値を提案(LEAP研究)

提供元:ケアネット

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公開日:2026/08/13

 

 日本人のLp(a)濃度分布やLp(a)の心血管疾患(CVD)との関連を明らかにするために国内で実施されている多施設共同後ろ向き観察研究(LEAP研究)。2025年の第57回日本動脈硬化学会総会・学術集会での発表時には、日本人におけるLp(a)濃度分布と冠動脈疾患(CAD)をはじめとする併存疾患の関連性について、具体的に示されていなかった。今回、本研究の筆頭著者である山田 知明氏(東京科学大学病院 医療情報部)らはそれらを明らかにし、Journal of Atherosclerosis and Thrombosis誌2026年8月1日号で報告した。

 Lp(a)は動脈硬化の独立したリスク因子として世界的に注目されている一方、日本国内では測定機会が限られており、日本人集団における正確な濃度分布やリスクの閾値(カットオフ値)に関する実臨床データは十分に明らかになっていない。そこで本研究グループは、国内6施設(東京科学大学、国立循環器病研究センター、大阪医科薬科大学、金沢大学、東京慈恵会医科大学、杏林大学)においてLp(a)が測定された6,173例を対象に解析を行った。本研究の測定患者は除外基準を設けず全例登録され、また、2種類の免疫学的測定キット(日東紡、積水メディカル)が用いられていたLp(a)測定値を既報の変換式に基づき「nmol/L」単位に標準化したうえで解析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・6,173例のうち男性は58.3%で、年齢中央値は63歳であった。
・有病率は家族性高コレステロール血症(FH)18.5%、CAD25.7%、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)28.3%、糖尿病(DM)30.1%であり、全体としてCVDリスクが高い集団であった。
・測定値を標準化した後のLp(a)中央値は20.88nmol/L(75パーセンタイル:61.7nmol/L、90パーセンタイル:137.1nmol/L)であり、右に裾が長い分布を示した。
・Lp(a)中央値は、DMを除くいずれの併存疾患において、併存群は非併存群と比較して有意に高値であった。ただし、DMにおいては、併存群は非併存群と比較して有意に低値であった。
 ● CAD:31.5nmol/L vs.19.4nmol/L(p<0.05)
 ● ASCVD:33.8nmol/L vs.18.7nmol/L(p<0.05)
 ● 慢性腎臓病(CKD):31.4nmol/L vs.19.2nmol/L(p<0.05)
 ● DM:16.5nmol/L vs.23.5nmol/L(p<0.05)
 ● FH:53.0nmol/L vs.18.0nmol/L(p<0.05)
・FHの遺伝型別(非FH<ヘテロ接合体<ホモ接合体)でLp(a)値が高くなる段階的な傾向が観察された。
・ROC解析において、CADおよびASCVD発症に対するLp(a)のAUCはそれぞれ0.60、0.59であった。
・感度・特異度の均衡から第1のカットオフ値25nmol/L(注意・リスク評価を考慮する水準)を、特異度0.90を超える閾値として第2のカットオフ値125nmol/L(高リスク水準)を日本人基準として提案した。
・年齢、性別、LDL-C、DM、CKDを調整した多変量解析においても、Lp(a)25~125nmol/L群、および125nmol/L超群は、25nmol/L未満群と比較してCADおよびASCVDに対する独立した有意なリスク因子であることが確認された。

 山田氏は、日本動脈硬化学会が5月に開催したプレスセミナーにおいて、「大規模データをnmol/L単位へ標準化し、日本人のLp(a)分布および各種動脈硬化性疾患との関連を可視化した初めての取り組み」であることを強調し、「これまで不明であった日本人でのLp(a)の実態、FHとの明確な関連を示すことができた点は非常に意義深い」とコメント。また、「解析により提案されたカットオフ値25nmol/Lは、(一次予防・一般人口における絶対的なリスク境界というよりも)二次予防や併存疾患を有する集団における『スクリーニングや個別リスク評価を考慮すべき注意信号』としての役割を持つ。一方、125nmol/Lを超える高リスク群に対しては、積極的な介入やFHに準じたカスケードスクリーニング(血縁者診断)を行う重要な基準となる」とも説明した。

 最後に、「現状、国内のLp(a)の測定機会は限られているが、脂質異常症や動脈硬化性疾患リスクを持つ患者に対し少なくとも“生涯に1回”の測定が行われるよう、日常診療や健診での啓発と普及を進めていきたい。また、健康成人を含む一次予防に対する研究も実施段階であり、今後詳細を明らかにしていきたい」と結んだ。

(ケアネット 土井 舞子)