乳がんのsBRCA変異とgBRCA変異、生物学的特徴と治療反応が異なる/ESMO Open

提供元:ケアネット

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公開日:2026/08/03

 

 BRCA変異のうち、生殖細胞系列(g)BRCA変異は生物学的および臨床的な重要性が十分に確立されているが、体細胞(s)BRCA変異の意義については不明な点が多い。今回、横浜市立大学の押 正徳氏らが、日本全国のがんゲノム医療データベース(C-CAT)を用いて大規模な乳がんゲノム解析を実施した結果、sBRCAのみ変異ありは、gBRCAとsBRCAの両方変異ありより多くみられ、sBRCA変異はgBRCA変異の有無によって明確なゲノムパターンが示された。また、gBRCAのみ、変異ありがCDK4/6阻害薬の治療継続期間の短縮と関連していた。ESMO Open誌2026年7月23日号に掲載。

 本研究では、C-CATに登録された乳がん患者のうちgBRCA変異およびsBRCA変異の有無が判明している2,978例を解析対象とし、「両方変異あり」「gBRCAのみ変異あり」「sBRCAのみ変異あり」「両方変異なし」の4群に分けた。エストロゲン受容体陽性(ER+)/HER2陰性(HER2-)乳がんおよびトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に焦点を当て、変異の全体像、相同組み換え欠損(HRD)に関連する変異、検体の由来、治療継続期間(TTD)を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・「sBRCAのみ変異あり」は「両方変異あり」よりも多かった。
・sBRCA変異は転移巣で多く検出された。
・ゲノム的には、「sBRCAのみ変異あり」ではPIK3CATP53を含む発がん性シグナル伝達経路の変異が多かったのに対し、「両方変異あり」ではBRCA変異が優勢なHRD関連の特徴を示した。
BRCA以外のHRD関連変異は、「sBRCAのみ変異あり」で最も頻度が高かった(52%、p=0.004)。
・ER+/HER2-乳がんに対するCDK4/6阻害薬治療における解析では、gBRCAに変異があるとTTDが短く、「両方変異あり」ではTTD短縮と独立して関連していた(ハザード比:1.3、p<0.001)。一方、「sBRCAのみ変異あり」は「両方変異なし」とTTDが同程度だった。
・TNBCにおいては、免疫チェックポイント阻害薬の治療成績はBRCA変異の有無と関連がみられなかった。

 著者らは「sBRCA変異は単独で解釈すべきではなく、gBRCA変異の有無やより広範なゲノム的文脈と統合して検討する必要がある」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)