お知らせがあります

限局性前立腺がん治療、5分割SBRT vs.中程度寡分割IMRT/JAMA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/09/01

 

 前立腺がんの治療では、近年、放射線治療の使用が増加し、照射の期間や毒性に対する社会的関心も高まっている。NRG Oncologyの研究グループは、期間を短縮した照射法の安全性と有効性を確立するために一連の無作為化試験を進めている。米国・サウスフロリダ大学のRodney J. Ellis氏らNRG-GU005 Collaborative Authorsは、その1つである「NRG-GU005試験」で、中間リスクの限局性前立腺がんの治療において、5分割の体幹部定位放射線治療(SBRT)は中程度寡分割強度変調放射線治療(MH-IMRT)と比較して、腸管症状の悪化が少なく、尿失禁や性機能は良好だが、尿路刺激/閉塞症状の悪化に差はなく、無病生存期間(DFS)に関しては有意に低いことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年8月13日号に掲載された。

アジア、北米、欧州の無作為化第III相試験

 NRG-GU005試験は、アジア、北米、欧州の136施設で実施した非盲検無作為化第III相試験であり、2017年11月~2022年6月の期間に参加者を登録した(米国国立がん研究所[NCI]の助成を受けた)。

 対象は、臨床病期がT1~T2bの限局性前立腺がんと診断され、(1)Gleasonスコアが3+4(グレードグループ2)で前立腺特異抗原(PSA)値が20ng/mL未満、または(2)Gleasonスコアが3+3(グレードグループ1)でPSA値が10~20ng/mLの患者であった。

 被験者698例(年齢中央値68歳、範囲:42~84)を、SBRT(総線量36.25Gy、5分割)を受ける群(353例)またはMH-IMRT(総線量70Gy、28分割または60Gy、20分割)を受ける群(345例)に無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、2年時における泌尿生殖器系および消化器系の生活の質(QOL)の指標としての、Expanded Prostate Cancer Index Composite-26 Item(EPIC-26)の尿路刺激/閉塞症状および腸管症状の「臨床的に意義のある最小限の悪化(MCID)」に至った患者の割合(低いほうが良好)、および3年時のDFS率であった。

腸管症状のMCID率、SBRT群34.9%vs.MH-IMRT群43.8%

 Gleasonスコア3+4/PSA値<10ng/mLの患者が73.5%と最も多く、81.7%がT1cであった。全身状態の指標であるZubrod performance statusは0が88.1%を占めた。SBRT群の96.6%が36.25Gy(5分割)の照射を完了し、MH-IMRT群では70.6%が28分割を、26.6%が20分割を完了した。追跡期間中央値は3.2年(範囲:0~6.5)だった。

 治療後2年時で、尿路刺激/閉塞症状のMCID率は、SBRT群が35.4%、MH-IMRT群は33.7%と両群間に有意な差を認めなかった(群間差:-1.7%、95%信頼区間[CI]:-9.7~6.3、p=0.68)。

 2年時の腸管症状のMCID率は、MH-IMRT群が43.8%であったのに対し、SBRT群は34.9%と有意に優れた(群間差:8.9%、95%CI:0.7~17.0、p=0.03)。

 また、1年後および2年後の尿失禁のMCID率(1年後:SBRT群29.9%vs.MH-IMRT群34.5%[p=0.05]、2年後:25.9%vs.34.7%[p=0.02])、1年後の性機能のMCID率(34.3%vs.43.9%[p=0.03])は、いずれもSBRT群で良好だった。


2年全生存率にも差はない

 DFS仮説(SBRT群で優れる)は退けられ、2年時点でDFS率はむしろMH-IMRT群で高く、3年DFS率も同様であった(88.6%vs.92.1%、層別log-rank検定のp=0.10、無益性のp<0.001)。また、2年全生存率は両群間に差がなかった(98.6%vs.97.8%、p=0.66)。

 Grade3、4の泌尿生殖器系の有害事象の発現は、SBRT群がMH-IMRT群に比べ少なかった(0.6%vs.2.5%)。

 著者は、「本研究は、限局性前立腺がんに対する短期間の放射線治療を検討している患者や医師に対し、ただちに影響を与えるものである」「DFSはSBRT群で数値的に劣るため、今後の調査でこの差が統計学的に有意となった場合、QOLへの悪影響が軽減される代償としてDFSが悪化する可能性が残ることになる」「2つの治療コホートとも、直腸スペーサーゲルの使用が腸管関連QOLの改善に有効な可能性が示唆された」としている。

(医学ライター 菅野 守)