頭痛は、精神科診療において最も頻繁に訴えられる身体的愁訴の1つであり、しばしば根底にある精神疾患に起因するものと考えられている。1次性頭痛、とくに片頭痛と緊張型頭痛は、精神疾患と併存することが少なくない。しかし、精神科外来診療におけるこれらのエビデンスは依然として限られていた。兵庫県・加古川中央市民病院の大谷 恭平氏らは、日本の総合病院の精神科外来患者における頭痛の特徴とそのマネジメントの現状を明らかにするため、レトロスペクティブに解析を行った。PCN Reports誌2025年10月30日号の報告。
2023年4月〜2024年3月に、600床の地域総合病院を受診したすべての精神科外来患者を対象に、レトロスペクティブカルテレビューを実施した。全対象患者2,525例のうち、頭痛関連の保険診断を受けた360例(14.3%)を特定し、頭痛のラベル、治療科、処方薬に関するデータを抽出した。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的としたモノクローナル抗体について、追加の処方を含む探索的症例集積を行うため、観察期間を2025年3月まで延長した。
主な結果は以下のとおり。
・頭痛関連の保険診断を受けた360例において、頻度の高い病名は、頭痛(203例、56.4%)、片頭痛(92例、25.6%)、緊張型頭痛(46例、12.8%)であった。群発頭痛と薬物乱用性頭痛はそれぞれ1例(0.3%)であった。
・頭痛治療は、精神科(153例、42.5%)で最も多く行われており、次いで神経内科(42例、11.7%)、脳神経外科(40例、11.1%)、一般内科(28例、7.8%)、リウマチ科/膠原病科(15例、4.2%)の順であった。
・使用された薬剤クラスは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(40例、11.1%)、アセトアミノフェン(38例、10.6%)、トリプタン系薬剤(23例、6.4%)、漢方薬(16例、4.4%)、抗CGRPモノクローナル抗体(6例、1.7%)などであった。
・薬剤レベルでは、アセトアミノフェン(38例)が最も多く、次いでロキソプロフェン(33例)、ゾルミトリプタン(14例)、五苓散(8例)、スマトリプタン(6例)、葛根湯(6例)、ジクロフェナク(4例)、バルプロ酸(4例)、ナラトリプタン(3例)の順であった。
・2025年3月までの患者7例を対象とした探索的CGRP解析では、6例が女性で、平均年齢は48.4±9.2歳であった。
・精神疾患の併存疾患は多様であり、摂食障害、双極症、心的外傷後ストレス障害、社会不安障害を伴う気分変調症、統合失調症、自閉スペクトラム症、神経症性うつ病などが併存疾患として挙げられた。
・すべての症例において頭痛の改善が認められた。2例は再発性発作のため、他の抗CGRPモノクローナル抗体への切り替えを必要としたが、その効果は維持された。1例は発疹のため一時的に投与を中止したが、その後、他の抗CGRPモノクローナル抗体を再開した。なお、気分/不安の中期的変化は限定的であった。
著者らは「精神科外来において、1次性頭痛は一般的であり、精神科で頻繁にマネジメントされていることが明らかとなった。抗CGRPモノクローナル抗体は、精神疾患が併存している患者においても頭痛の緩和をもたらすが、精神症状は改善したわけではなく、頭痛に特化したケアと並行してメンタルヘルス介入を行う必要性が示唆された。精神科における専門分野横断的な連携と早期の頭痛評価を強化することが重要であると考えられる」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)