過剰な糖質の摂取は、認知症リスクの上昇と関連しているといわれているが、これまでの研究ではサンプル数が少なく、糖質の総量に着目しているため、特定の糖質サブタイプに関する調査は限られていた。中国・西安交通大学のYue Che氏らは、糖質の摂取量およびサブタイプと認知症リスクとの関係を評価するため、プロスペクティブコホート研究を実施した。The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年7月31日号の報告。
英国バイオバンク参加者のうち、24時間食事回想法を1回以上実施した17万2,516人を対象に分析を行った。糖質の総量およびサブタイプ(遊離糖、果糖、ブドウ糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖、その他の糖類)について、Cox比例ハザードモデルを用いて、認知症リスクに関するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。性別による層別化分析も実施した。
主な結果は以下のとおり。
・糖類の総量(HR:1.292、95%CI:1.148〜1.453)、遊離糖の量(HR:1.254、95%CI:1.117〜1.408)が多い場合、認知症リスク上昇との関連が認められた。
・乳製品以外の外因性糖類(HR:1.321、95%CI:1.175〜1.486)、ショ糖(HR:1.291、95%CI:1.147〜1.452)においても、認知症リスクとの正の相関が認められた。
・これらの関連性は、女性において顕著であり、糖類の総量および遊離糖、ブドウ糖、ショ糖、乳製品以外の外因性糖類の摂取量の増加は、それぞれ独立して認知症リスク上昇との関連が認められた。一方、男性では有意な関連は認められなかった。
著者らは「糖類の総量および遊離糖、ショ糖、乳製品以外の外因性糖類の摂取量が多いと、とくに女性では認知症リスクが上昇することが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)