統合失調症および統合失調症様疾患では、4人に 3人以上の患者が幻聴を経験しているのに対し、うつ病では、6%の患者に幻聴が認められると報告されている。この2つの疾患における幻聴の鑑別は、診断および予後予測において重要である。インド・Dr D.Y. Patil Medical CollegeのTahoora Ali氏らは、統合失調症とうつ病における幻聴の特徴を比較した。Industrial Psychiatry Journal誌2025年1~4月号の報告。
対象は、3次医療の精神科センターの入院患者より抽出された統合失調症およびうつ病患者110例。社会人口統計学的情報、臨床的特徴に関連する情報、幻聴評価尺度の特徴を含む本検討のために設計されたプロフォーマを用いて、評価を行った。
主な結果は以下のとおり。
・統合失調症患者とうつ病患者は、年齢、教育、職業、社会経済的地位によりマッチングされた。
・統合失調症患者の幻聴は、うつ病患者と比較し、以下の項目において有意に高い評価を認めた。
●幻聴の頻度
●明瞭性
●音調
●重症度
●注意力散漫
●自己制御
●苦痛
著者らは「統合失調症患者における幻聴の特徴は、うつ病患者とは大きく異なっていた。これは、診断を超えた重要な意義を示唆している。これらの幻聴の特性を臨床的に評価することは、診断精度の向上に役立つ可能性がある」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)