自家SCT後に再発した多発性骨髄腫、同種SCT vs.自家SCT

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/23

 

 自家造血幹細胞移植(auto-SCT)後に再発した多発性骨髄腫患者に対して、これまでauto-SCTより同種造血幹細胞移植(allo-SCT)のほうが優れていると考えられていた。今回、オーストリア・Wilhelminen Cancer Research InstituteのHeinz Ludwig氏らの系統的レビューとメタ解析の結果、allo-SCTがauto-SCTよりも全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)が劣っていることが示された。Cancer誌2025年5月15日号に掲載。

 研究グループは、1995年~2024年10月に発表された英語論文の包括的な文献レビューを行い、初回auto-SCT後に再発した多発性骨髄腫に対して、allo-SCTとauto-SCTを比較した5研究を解析した。また、再発後に適合する同種造血幹細胞ドナーが存在する患者と存在しない患者を比較した2研究を個別に解析した。日本造血・免疫細胞療法学会と国際血液骨髄移植研究センター(CIBMTR)の2つの大規模データベースから 815例の個別データを入手した。Kaplan-Meier曲線で示された5つの小規模研究(allo-SCTとauto-SCTを比較した3研究、および適合ドナーの有無で比較した2つの研究)のデータは、Shinyアプリを用いてデジタル化した。メタ解析はR 4.3.3を用い、OSおよびPFSについてKaplan-Meier検定およびlog-rank検定を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・個々の患者データ解析では、auto-SCT群でOSが有意に延長し、このベネフィットは3つの小規模試験で一貫していた。PFSも、CIBMTRのデータセットおよびプールされた小規模研究において、auto-SCTのほうが優れていた。
・適合ドナーの有無で比較した2試験では、ドナーあり群のほうがPFSが長く、データを統合するとOSも改善していた。

 これらの結果から、著者らは「初回auto-SCT後に再発した多発性骨髄腫患者には、allo-SCTを推奨すべきではないことが示された」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)