サイアザイドに重大な副作用追加、ループ利尿薬は見送り/厚労省

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/22

 

 2025年5月20日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、該当医薬品の副作用の項などに追記がなされる。

サイアザイド系、ループ利尿薬の全16製品を検討

 スルホンアミド構造を有する炭酸脱水酵素阻害薬(経口剤、注射剤)、サイアザイド系利尿薬について、「急性近視、閉塞隅角緑内障および脈絡膜滲出」に関する国内外の副作用症例や公表文献の評価などから、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。これまで海外では、サイアザイド系利尿薬(サイアザイド類似利尿薬含む)およびアセタゾラミドを含む利尿薬について、急性近視、閉塞隅角緑内障および脈絡膜滲出に関するリスク評価または措置が行われており、スルホンアミド構造を有する医薬品と急性近視、閉塞隅角緑内障および脈絡膜滲出のリスクとの関連性を示唆する報告が挙がっていた。なお、ループ利尿薬3製品(フロセミド、トラセミド、アゾセミド)については、改訂が検討されたが指示には至らなかった
※2025年5月26日20時、本文中に誤りがあり、一部修正(フロセミド、トラセミド、アゾセミドを削除)しました。

 改訂の対象医薬品は全13製品(サイアザイド系利尿剤、同成分とARBの配合剤)で、9製品の添付文書の「重要な基本的注意」の項目に「急性近視、閉塞隅角緑内障、脈絡膜滲出」に関する注意を、また、「副作用」の重大な副作用の項に「脈絡膜滲出」あるいは「急性近視、閉塞隅角緑内障、脈絡膜滲出」が追記される。その他の4製品については、ほかのサイアザイド系薬剤で副作用が現れた旨の報告が追記される。

<対象医薬品>※2025年5月26日20時、フロセミド、トラセミド、アゾセミドを削除しました。
・アセタゾラミド(商品名:ダイアモックス錠ほか)
・アセタゾラミドナトリウム(同:ダイアモックス注射用)
・インダパミド(同:ナトリックス錠ほか)
・メフルシド(同:バイカロン錠ほか)
・ヒドロクロロチアジド(同:ヒドロクロロチアジド錠)
・ベンチルヒドロクロロチアジド(同:ベハイド錠)
・トリクロルメチアジド(同:フルイトラン錠ほか)
・カンデサルタン シレキセチル・ヒドロクロロチアジド(同:エカード配合錠LD/HDほか)
・テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド(同:ミコンビ配合錠AP/BPほか)
・テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩・ヒドロクロロチアジド(同:ミカトリオ配合錠)
・バルサルタン・ヒドロクロロチアジド(同:コディオ配合錠MD/EXほか)
・ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド(同:プレミネント配合錠LD/HDほか)
・イルベサルタン・トリクロルメチアジド(同:イルトラ配合錠LD/HD)

ドンペリドン、妊婦禁忌が削除

 このほか改訂指示が出されたものとして、ドンペリドンの「禁忌」から妊婦または妊娠している可能性のある女性が削除される。

 厚生労働省の妊婦・授乳婦を対象とした薬の適正使用推進事業の情報提供ワーキンググループ(WG)は、「女性が妊娠に気付いていなかった場合に、結果的に妊婦に対して本薬を処方される事例が一定数存在しており、そのような事例において、妊娠判明後に本薬が妊婦禁忌であることを知った女性が妊娠を継続するかどうか不安を抱え、人工妊娠中絶を選択する可能性がある」ことを指摘。また、『産婦人科診療ガイドライン-産科編2023』において、「妊娠初期のみに使用された場合、臨床的に有意な胎児への影響はないと判断してよい医薬品」として本薬の記載があること、当該ガイドラインにて本薬の服用により奇形発生の頻度や危険度が上昇するとは考えられない旨の根拠が示されている点などを踏まえて、今回の判断に至った。

(ケアネット 土井 舞子)