早期HER2+乳がん、術後化療+トラスツズマブへのペルツズマブ上乗せでOS改善(APHINITY)/ESMO BREAST 2025

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/22

 

 HER2陽性乳がんに対する術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブの上乗せを検証した第III相APHINITY試験の最終解析の結果、ペルツズマブの上乗せにより全生存期間(OS)が有意に改善したことを、スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2025、5月14~17日)で報告した。

 APHINITY試験は、HER2陽性の手術可能な早期乳がん患者(4,804例)を対象に、術後療法として化学療法+トラスツズマブにペルツズマブを上乗せした際のプラセボに対する無浸潤疾患生存期間(iDFS)における優越性を検証したプラセボ対照無作為化比較試験。中間解析において、ペルツズマブ群では、プラセボ群よりもiDFSの有意な改善を示した。今回は、追跡期間中央値11.3年の最終解析結果が報告された。

 主な結果は以下のとおり。

・死亡はペルツズマブ群205例(8.5%)、プラセボ群247例(10.3%)に発生した(ハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.69~1.00、p=0.0441[有意水準はp≦0.0496])。
・10年OS率は、ペルツズマブ群91.6%、プラセボ群89.8%であった。
・リンパ節転移陽性患者(HR:0.79、95%CI:0.64~0.97)ではペルツズマブ上乗せによるOSの有意な改善が認められたが、リンパ節転移陰性患者(HR:0.99、95%CI:0.66~1.49)では認められなかった。
・ホルモン受容体陽性患者(HR:0.76、95%CI:0.60~0.97)ではペルツズマブ上乗せによるOSの有意な改善が認められたが、ホルモン受容体陰性患者(HR:0.94、95%CI:0.70~1.26)では認められなかった。
・中間解析で認められたペルツズマブ上乗せによるiDFSの改善は11.3年時点でも維持されていた(HR:0.79、95%CI:0.68~0.92)。
・10年iDFS率は、ペルツズマブ群87.2%、プラセボ83.8%であった。
・リンパ節転移陽性患者ではペルツズマブ上乗せによるiDFSのベネフィットは引き続き臨床的に意義のあるものであったが、リンパ節転移陰性患者ではベネフィットは認められなかった。
・心臓に対する新たな安全性シグナルは特定されなかった。

 これらの結果より、Cortes氏は「リンパ節転移陰性の場合には化学療法+トラスツズマブを引き続き術後補助療法として選択すべきであるが、リンパ節転移陽性の場合にはペルツズマブも投与すべきである」とまとめた。

(ケアネット 森)