希少疾病の診断ラグへの提言を入れた希少疾病白書を刊行/アレクシオン

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/05/21

 

 アレクシオンファーマは、希少疾患領域での貢献を目指すため、ヘルスエクイティ(医療の公平性)の実現に向けて大きな課題となっている診断の遅れ(診断ラグ)の分析、およびその解決策を提示した『希少疾患白書「診断ラグ」の実態と解消に向けての提言~最新テクノロジーと社会の力で実現するヘルスエクイティ~』を刊行した。

 希少疾患患者は、確定診断されるまで長い時間がかかることが多く、その影響は患者本人だけでなく、医療システム全体にも及んでいる。この実情を踏まえ、診断ラグが希少疾患患者の医療の公平性の実現における大きな障壁であると問題提起し、わが国における希少疾患患者を取り巻く現状と課題を整理する。

 同書では、診断ラグが、希少疾患患者にもたらす負担について、直接的な医療費を含め定量的なデータで示しているほか、診断の迅速化や医療アクセスの公平性を高めるために、中長期的な視点に立った現実的かつ実行可能な提言も記載している。

 同書が明示する主なデータは以下のとおり。

・希少疾患患者の診断までに要した期間が平均3.4年間
・診断に5年以上かかるケースは全体の35%(おおよそ3人に1人)
・希少疾患患者の59%が誤診を経験している
・希少疾患患者の医療費は一般対照群と比較して約3.4倍、通院日数は約2.2倍に達する

 こうした事情を踏まえて同書では、希少疾患患者が直面する実態とさまざまな課題を分析するとともに、診断ラグの解消に向けた下記の6つの提言を行っている。

(提言1)新生児マススクリーニング検査対象疾患を拡大するとともに、重症新生児に全ゲノム検査を取り入れるための環境整備を推進する
(提言2)医師が早期に疾患に気付けるためのAI診断支援ツール(SaMDなど)の活用を促進する
(提言3)希少疾患の“Center of Excellence”を構築し、非専門医・専門医のつながりを強化する
(提言4)希少疾患に関するデータが早期診断に活用される環境整備を推進する
(提言5)患者の声が反映された社会の実現に向け、患者団体などの意見の政策への反映の推進、およびそれに必要となる資金基盤の強化を支援する
(提言6)政府が推進する中核的取り組みに、希少疾患の診断ラグ/診断ロス解消に向けた施策を組み込む

 同社では、「この白書が、希少疾患および診断ラグについて考えるきっかけとなり、社会全体での対話を促すとともに、希少疾患に関わる多様な関係者が連携し、迅速な診断、治療、ケアの実現に向けた具体的な解決策の実行へとつながることを願っている。誰もが正確な診断と適切な支援を受けられる未来を実現するためには、関係者の協働が不可欠と考える」とコメントしている。

【白書の主な目次】
・背景
・希少疾患患者のヘルスエクイティの現状
・希少疾患の診断ラグ/診断ロスの解消に向けた提言
・診断ラグ/診断ロスの解消によるヘルスエクイティの実現
・補足資料
・主な用語・略語の説明
・参考文献

(ケアネット 稲川 進)