アルツハイマー病のアジテーション、日本におけるブレクスピプラゾールの長期安全性

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/21

 

 アジア人アルツハイマー病患者におけるアジテーション(攻撃的行動および発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等)の治療に対するブレクスピプラゾールの長期安全性および有効性は、明らかとなっていない。香川大学の中村 祐氏らは、第II/III相試験において10週間の二重盲検投与期間を完了した日本人患者におけるブレクスピプラゾール1mg/日または2mg/日を14週間投与した場合の安全性および有効性を評価した。Journal of Alzheimer's Disease Reports誌2025年4月16日号の報告。

 本試験は、多施設共同第III相オープンラベル試験である。元試験において、プラセボまたはブレクスピプラゾール1mg/日または2mg/日の10週間投与を完了した患者を、本延長試験に組み入れた。主要エンドポイントは、有害事象の発現頻度とした。

 主な結果は以下のとおり。

・インフォームドコンセントが得られた183例のうち、ブレクスピプラゾール1mg/日または2mg/日を14週間投与した患者は164例(元試験ブレクスピプラゾール投与群:102例、元試験プラセボ投与群:62例)、試験全体の完了率は71.3%。
・治療中に発現した有害事象は、全体で90.2%(元試験ブレクスピプラゾール投与群:90.2%、元試験プラセボ投与群:90.3%)。
・有害事象のほとんどは、軽度または中等度であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。
・14週目(最終観察持ち越し)のCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)合計スコアのベースラインからの平均変化量は、−4.0±9.8であった。

 著者らは「アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する日本人患者において、ブレクスピプラゾール1mg/日または2mg/日による合計24週間までの投与は、忍容性はおおむね良好であり、有効性の維持も確認された」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)