乳製品摂取と慢性肝疾患・肝がんリスクが関連

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/21

 

 乳製品摂取量と慢性肝疾患死亡率および肝がん発症率との関連性を評価した結果、高脂肪乳製品摂取は慢性肝疾患死亡リスクを高める一方で低脂肪乳製品摂取はリスクを下げ、乳製品全体・高脂肪乳製品・牛乳は肝がんリスクを高めることを、米国・ハーバード大学のXing Liu氏らが明らかにした。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2025年4月28日号掲載の報告。

 本研究は、1995~96年の米国国立衛生研究所-AARP 食事・健康研究の参加者を対象とした前向きコホート研究。がんの既往歴のある参加者や過剰なカロリー摂取歴のある参加者は除外された。乳製品の摂取量や摂取頻度などは、検証済みの食品摂取頻度質問票を用いて聴取した。Cox比例ハザードモデルを用いて関連を検討した。

 主な結果は以下のとおり。

●合計48万5,931人の適格参加者が解析に含まれた。男性は59.8%、平均年齢は61.5(SD 5.4)歳であった。追跡期間中央値15.5年の間に、慢性肝疾患による死亡が993件、肝がんが940件発生した。
●慢性肝疾患死亡率は、高脂肪乳製品および高脂肪牛乳の摂取と正の関連を示した。ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は以下のとおり。
 -高脂肪乳製品摂取が21以上vs.0~3.5サービング/週のHR:1.51(95%CI:1.24~1.84)、傾向のp=0.009
 -高脂肪牛乳摂取が14以上vs.0サービング/週のHR:2.03(95%CI:1.31~3.14)、傾向のp<0.001
●低脂肪乳製品、低脂肪牛乳、ヨーグルトの摂取と慢性肝疾患死亡率は逆の関連を示した。
 -低脂肪乳製品摂取が21以上vs.0~3.5サービング/週のHR:0.62(95%CI:0.46~0.84)、傾向のp=0.002
 -低脂肪牛乳摂取が14以上vs.0サービング/週のHR:0.54(95%CI:0.41~0.70)、傾向のp=0.028
 -ヨーグルト摂取が4以上vs.0サービング/週のHR:0.60(95%CI:0.37~0.97)、傾向のp=0.057
●乳製品全体と高脂肪乳製品の摂取は、肝がん発症率とわずかながら正の関連を示した。
 -乳製品総摂取が21~28vs.0~7サービング/週のHR:1.26(95%CI:0.99~1.59)、傾向のp=0.040
 -高脂肪乳製品摂取が14~21vs.0~3.5サービング/週のHR:1.35(95%CI:1.07~1.70)、傾向のp=0.014
●牛乳摂取は肝細胞がん発症率と正の関連を示した。

(ケアネット 森)