高齢者への抗菌薬投与の有害性と安全性、3~7日vs.8~14日

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/23

 

 地域在住の66歳以上の高齢者において、アモキシシリン、セファレキシン、シプロフロキサシンの投与期間が長期(8〜14日)となった場合、短期(3〜7日)の場合と比較して、副作用やClostridioides difficile感染症(CDI)などの有害性アウトカム発現に差は認められなかった。カナダ・トロント大学のBradley J Langford氏らは、10万例以上の高齢患者を対象としたコホート研究の結果を、Clinical Infectious Diseases誌2025年4月号で報告した。

 本研究では、カナダ・オンタリオ州の行政医療データが用いられた。対象はアモキシシリン、セファレキシン、シプロフロキサシンのいずれかまたは複数の処方を受けた66~110歳の外来患者で、処方期間は短期(3〜7日)または長期(8〜14日)に分類された。主要アウトカムは副作用、CDI、抗菌薬耐性を含む抗菌薬関連の害の複合、副次アウトカムは、抗菌薬の再処方、通院、死亡を含む安全性指標の複合であった。バイアスリスクを低減するため、抗菌薬投与が長期の患者の割合を元に操作変数法による解析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者11万7,682例において、抗菌薬投与期間が長期の患者と短期の患者の間で、主要有害性アウトカムに差はみられなかった(以下、調整オッズ比[95%信頼区間])。
 アモキシシリン:0.99[0.84~1.15]
 セファレキシン:1.11[0.90~1.38]
 シプロフロキサシン:0.94[0.74~1.20]
・抗菌薬投与期間が長期の患者と短期の患者の間で、副次安全性アウトカムに差はみられなかった(以下、オッズ比[95%信頼区間])。
 アモキシシリン:1.01[0.94~1.08]
 セファレキシン:1.06[0.97~1.17]
 シプロフロキサシン:0.99[0.85~1.15]

(ケアネット 遊佐 なつみ)