SSRI/SNRIの使用がベンゾジアゼピン依存性に及ぼす影響

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/05/12

 

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)またはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の使用とベンゾジアゼピン使用パターンとの関係、両剤併用の経時的変化について、米国・Vanderbilt University Medical Center のKerry L. Kinney氏らが調査を行った。Drug and Alcohol Dependence Reports誌2025年6月号の報告。

 2020〜22年にベンゾジアゼピンを使用した患者847例を電子カルテより分析した。対象患者は、SSRI使用群、SNRI使用群、非使用群に分類した。

 主な結果は以下のとおり。

・SSRI群(M=6.63)またはSNRI群(M=8.31)は、非使用群(M=5.08)と比較し、ベンゾジアゼピンを使用する期間が長かった。
・SSRI群(M=2.41 DMEDDD)またはSNRI群(M=2.30 DMEDDD)は、非使用群(M=1.91 DMEDDD)よりも、ベンゾジアゼピンの投与量が高用量であった。
・マルチレベルモデルでは、SSRI群は、初期ベンゾジアゼピン投与量が多かったが(b=0.394)、時間経過とともに有意な変化は認められなかった。
・ベンゾジアゼピン使用の人口統計学的および臨床的相関を制御した場合、非SSRI群は、時間経過とともにベンゾジアゼピンの投与量増加が認められた(b=0.075)。
・マルチレベルモデルでは、SNRI群は、ベンゾジアゼピンの初期用量または経時的な用量変化との関連は認められなかった。
・不安症の診断、若年、非黒人/アフリカ系米国人は、ベンゾジアゼピン高用量の関連因子であった。

 著者らは「SSRIまたはSNRIを使用している患者は、ベンゾジアゼピンの投与量が多く、治療期間が長引く可能性があり、ベンゾジアゼピン依存リスクが高いことが示唆された」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)