総務省消防庁は、1月24日に「令和6年版 救急・救助の現況」を公表した。2023(令和5)年の救急出動件数(消防防災ヘリコプターを含む)は764万987件、搬送人員は664万3,379人だった。また、現場到着所要時間*1の平均は約10.0分だった。
1)救急出動件数および搬送人員
救急出動件数は全体で764万987件(対前年比40万8,869件増、5.7%増)、搬送人員は664万3,379人(対前年比42万4,080人増、6.8%増)で前年と比較して救急出動件数、搬送人員ともに増加した。そのうち救急車による救急出動件数は763万8,558件(対前年比40万8,986件増、5.7%増)、搬送人員は664万1,420人(対前年比42万4,137人増、6.8%増)で救急出動件数、搬送人員ともに前年と比較して増加した。
2)事故種別の救急出動件数および搬送人員
救急車による救急出動件数の内訳を事故種別ごとにみると、「急病」が517万4,494件(対前年比28万9,864件増、5.9%増)、「一般負傷」が118万5,397件(対前年比8万4,116件増、7.6%増)、「転院搬送」が55万6,367件(対前年比1万9,008件増、3.5%増)の順で多かった。また、事故種別ごとの搬送人員をみると、「急病」が449万5,904人(対前年比30万9,454人増、7.4%増)、「一般負傷」が105万9,922人(対前年比7万3,964人増、7.5%増)、「転院搬送」が55万2,422人(対前年比2万206人増、3.8%増)の順で多かった。
過去20年における事故種別の搬送人員と構成比の5年ごとの推移では、事故種別ごとの救急出動件数と同様に、「急病」と「一般負傷」が増加していた。
3)年齢区分別の搬送人員
救急車による搬送人員の内訳を年齢区分別にみると、「高齢者」が409万3,552人(対前年比23万399人増、6.0%増)、「成人」が196万8,232人(対前年比10万5,844人増、5.7%増)、「乳幼児」が33万6,047人(対前年比6万1,907人増、22.6%増)の順で多かった。とくに高齢者では、65~74歳が93万627人(構成比14.0%)、75~84歳が155万3,433人(構成比23.4%)、85歳以上が160万9,492人(構成比24.2%)と年齢が上がるほど増加していた。
4)傷病程度別の搬送人員
救急車による搬送人員の内訳を傷病程度別にみると、「軽症(外来診療)」が321万8,832人(対前年比27万8,726人増、9.5%増)、「中等症(入院診療)」が285万622人(対前年比14万7,825人増、5.5%増)、「重症(長期入院)」が48万1,993人(対前年比1,042人増、0.2%増)の順で多かった。また、過去20年における傷病程度別の搬送人員と構成比の5年ごとの推移をみると、「軽症(外来診療)」の構成比は減少しているが搬送人員は増加しており、「中等症(入院診療)」は搬送人員、構成比ともに増加していた。
5)救急車による現場到着所要時間および病院収容所要時間
救急車による現場到着所要時間
*1の平均は約10.0分(前年約10.3分)となっており、新型コロナ流行前の2019年の8.7分と比べ、約1.3分延伸していた。また、病院収容所要時間
*2の平均は約45.6分(前年約47.2分)となっており、2019年の39.5分と比べ、約6.1分延伸していた。
*1 現場到着所要時間:119番通報を受けてから現場に到着するまでに要した時間
*2 病院収容所要時間:119番通報を受けてから医師に引き継ぐまでに要した時間
(ケアネット 稲川 進)