これまでに、女性医師が治療した患者は男性医師が治療した患者よりも転帰が良く、医療費も低くなる可能性が報告されている。医師と患者の性別の一致も転帰に影響する可能性があるが、これまでの研究では有意差は確認されておらず、統合解析によるエビデンスはほとんどない。今回、米国・メイヨークリニックのKiyan Heybati氏らがランダム効果メタ解析を実施した結果、女性医師の治療を受けた患者は、男性医師の治療を受けた患者に比べ死亡率が有意に低く、再入院も少なかったことがわかった。BMC Health Services Research誌2025年1月17日号に掲載。
本研究では、MEDLINEとEMBASEの開始から2023年10月4日まで検索し、関連研究を手作業で検索した。メタ解析には、成人(18歳以上)を登録し、内科および外科の専門領域にわたって医師の性別の影響を評価した観察研究を含めた。バイアスのリスクはROBINS-Iを用いて評価した。事前のサブグループ分析は、患者タイプ(外科対内科)に基づいて実施した。主要評価項目は全死亡率、副次評価項目は合併症、再入院、入院期間など。
主な結果は以下のとおり。
・35件(1,340万4,840例)の観察研究のうち、20件(891万5,504例)は外科医の性別の影響を評価し、残りの15件(448万9,336例)は内科治療/麻酔ケアにおける医師の性別に焦点を当てた研究であった。バイアスのリスクがmoderateと評価されたのは15件、severeが15件、criticalは5件だった。
・女性医師が治療した患者の死亡率は男性医師が治療した患者よりも有意に低く(オッズ比[OR]:0.95、95%信頼区間[CI]:0.93~0.97、PQ=0.13、I2=26%)、これは外科医と非外科医で一貫していた(相互作用:p=0.60)。
・有意な出版バイアスは検出されなかった(Egger検定:p=0.08)。
・女性医師による内科治療/麻酔ケアを受けた患者では再入院率が有意に低かった(OR:0.97、95%CI:0.96~0.98)。
・9件(716万3,775例)の研究の質的統合では、医師と患者の性別の一致は良好なアウトカムと関連し、とくに女性医師と女性患者の一致で良好だった。
著者らは「すべての患者の健康アウトカムを最適化するためには、異なる国々のほかの医療状況におけるこれらの影響を検証し、根底にある機序と長期アウトカムを理解するために、さらなる研究が必要」としている。
(ケアネット 金沢 浩子)