日本人の認知症予防に有効な緑茶やコーヒーの摂取量は

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/01/30

 

 緑茶やコーヒーには認知機能低下の予防効果があることが報告されているが、認知機能に対する長期的な影響は、よくわかっていない。慶應義塾大学の是木 明宏氏らは、中年期における緑茶やコーヒーの摂取が認知症予防に及ぼす影響を調査した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年1月8日号の報告。

 JPHC佐久メンタルヘルスコホートには、1,155人(1995年時点の年齢:44〜66歳)の参加者が含まれた。参加者の緑茶およびコーヒーの摂取量は、1995年と2000年のアンケートにより評価した。認知機能レベルは、2014〜15年に神経心理学的評価を行った。有意な認知機能低下(マルチドメイン認知機能低下およびより重篤な状態と定義)を従属変数としてロジスティック回帰分析を行った。性別および年齢による層別化解析も行った。

 主な結果は以下のとおり。

・毎日2〜3杯の緑茶を摂取した人は、潜在的な交絡因子で調整した後、認知機能低下リスクの有意な減少が認められた(オッズ比[OR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.35〜0.91)。
・4杯以上の緑茶の摂取により、統計学的に有意な差は消失した。
・緑茶による認知機能保護効果は、とくに男性で確認された(OR:0.38、95%CI:0.19〜0.76)。
・完全に調整された同モデルにおいて、高齢者(1995年時点の平均年齢:53歳以上)では、毎日1杯以上のコーヒー摂取により認知機能低下リスクの有意な減少が確認された(OR:0.54、95%CI:0.34〜0.84)。ただし、サンプル全体では、有意な差は認められなかった。

 著者らは「中年期における適度な緑茶摂取は、とくに男性において、認知症予防に有効である可能性が示唆された。また、コーヒーによる認知症予防効果は、高齢者においてより有益であろう」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)