未治療統合失調症患者におけるメタボリックシンドローム有病率と関連因子

メタボリックシンドローム(MetS)は、心血管疾患特有のいくつかのリスク因子を含む疾患であり、統合失調症患者では頻繁に発症する。中国・Wuhan Mental Health CenterのSuoya Hu氏らは、抗精神病薬未使用の統合失調症患者におけるMetSの発症と重症度に影響を及ぼす因子を明らかにするため、本研究を実施した。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2024年5月22日号の報告。
対象は、2017年2月〜2022年6月に中国中部最大の精神科専門施設に入院した抗精神病薬未使用の18〜49歳の統合失調症患者668例。対象患者の社会人口統計学的および一般臨床データを収集した。精神病理スコアおよび重症度の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および臨床全般印象度の改善度(CGI-I)をそれぞれ用いた。MetSスコアは、重症度を判断するため算出した。
主な結果は以下のとおり。
・抗精神病薬未使用の統合失調症入院患者のMetS有病率は10.93%であった。
・二項ロジスティック回帰分析では、MetSのリスク因子として、発症年齢、女性、総コレステロール、赤血球数、白血球数が特定された。
・MetSの保護因子には、遊離サイロキシン(FT4)、CGI-Iスコアが特定された。
・多重線形回帰分析では、統合失調症の発症年齢の高さがMetSスコア上昇のリスク因子であることが示唆された。
著者らは、「本研究より、未治療統合失調症患者のMetS有病率およびMetSの発症や重症度に影響を及ぼす因子が特定された。これらの知見は、統合失調症の臨床診療におけるMetS関連の予防および治療戦略に活かされるであろう」としている。
(鷹野 敦夫)
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