精神疾患患者の不眠症と外来継続率との関連

提供元:ケアネット

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公開日:2024/04/24

 

 睡眠は、身体的および精神的な健康を維持するうえで重要な役割を果たしている。精神科を受診する外来患者は、不眠症を呈していることが多いが、各精神疾患における不眠症と抑うつ症状との関連は、依然として不明なままであった。また、不眠症と外来治療継続との関係についての研究も十分とはいえない。昭和大学の鎌田 行識氏らは、さまざまな精神疾患患者における抑うつ症状と不眠症には強い相関があると仮説を立て、不眠症が外来受診の継続率に及ぼす影響を評価した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2024年3月27日号の報告。

 対象は、2021年6月~2023年3月に昭和大学病院附属東病院の精神神経科外来を初めて受診し、1年間継続して外来受診した患者。臨床的特徴の評価には、うつ病自己評価尺度(SDS)およびアテネ不眠症尺度(AIS)を用いた。精神神経科受診外来患者の不眠症状と抑うつ症状を初診時および1年後に評価した。また、不眠症と関連する因子および外来治療継続率に関連する因子についても検討を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者1,106例のうち、70%以上が初診時に不眠症を呈していることが明らかとなった。
・1年間外来治療が継続した患者は137例であり、AISスコアが9ポイントから5ポイントに改善がみられた。
・多変量解析では、抑うつ症状と不眠症のSDS項目がAIS改善に影響を及ぼす交絡因子であることが示唆された。

 著者らは、「精神科を初めて受診した患者の70%は不眠症を呈していた。また、1年間外来治療を継続した患者は12.4%にとどまることが明らかとなった。外来治療を継続していた患者の多くは睡眠状態が改善したことを考慮すると、外来受診の継続は睡眠状態改善の重要な決定因子であることが示唆される」としている。

(鷹野 敦夫)