脳転移した乳がん患者において、HER2低発現の患者はHER2ゼロの患者よりも良好な予後を示し、とくにホルモン受容体(HR)陰性の患者で顕著であることが、中国・National Cancer CenterのHangcheng Xu氏らの後ろ向き研究で示された。Breast誌オンライン版2024年1月1日号に掲載。
この後ろ向き研究は、2010年1月~2021年7月にHER2発現状況が確認できた乳がん脳転移患者について、HER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)患者71例とHER2ゼロ患者64例を比較したもの。主要評価項目は脳転移診断後の全生存期間(OS)で、log-rank検定を用いたKaplan-Meier曲線とCox比例ハザードモデルで評価した。
主な結果は以下のとおり。
・限られたサンプル数にもかかわらず、HER2低発現患者のOSはHER2ゼロ患者と比較して有意に良好だった(26ヵ月vs.20ヵ月、p=0.0017)。この傾向はHR陰性群で顕著(26ヵ月vs.13ヵ月、p=0.0078)だったが、HR陽性群では有意差は認められなかった。
・Cox回帰分析により、HER2低発現がHR陰性患者のOSを延長する独立した予後因子であることが明らかになった(多変量解析においてp=0.046)。
本研究の結果、HER2低発現が脳転移のある乳がん患者の生存期間延長に関連することが示唆された。
(ケアネット 金沢 浩子)