KRAS G12C変異大腸がん、ソトラシブ+パニツブマブが第III相試験でPFS延長(CodeBreaK 300)/ESMO2023

提供元:ケアネット

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公開日:2023/10/30

 

 KRAS G12C遺伝子変異を有する進行固形がんに対する、KRAS G12C阻害薬ソトラシブの有用性をみる大規模バスケットCodeBreaK試験。第I相CodeBreaK 101試験ではKRAS G12C変異の転移大腸がん(mCRC)コホートにおいて、ソトラシブ+抗EGFR抗体パニツムマブ併用療法が30%の奏効率(ORR)を示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)のPresidentialセッションで、イタリア・Fondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのFilippo Pietrantonio氏が、第III相CodeBreaK 300試験の初回解析結果を発表した。

・対象:化学療法抵抗性KRAS G12C変異を有するmCRC患者、PS0~2
・試験群:ソトラシブ960mgを1日1回+パニツムマブ6mg/kg(高ソト群)、またはソトラシブ240mgを1日1回+パニツムマブ6mg/kg(低ソト群)
・対照群:治験責任医師が選択したTAS-102またはレゴラフェニブ(選択治療群)
・評価項目:
[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]全生存期間(OS)、ORR

 主な結果は以下のとおり。

・160例が登録され、高ソト群(n=53)、低ソト群(n=53)、選択治療群(n=54)に無作為に1対1対1で割り付けられた。
・追跡期間中央値7.8ヵ月におけるPFSは、高ソト群5.6ヵ月、低ソト群3.9ヵ月、選択治療群2.2ヵ月であった。高ソト群の選択治療群に対するハザード比[HR]は0.49(95%信頼区間[CI]:0.30~0.80、p=0.006)、低ソト群のHRは0.58(95%CI:0.36~0.93、p=0.03)で、主要評価項目を達成した。
・OSは未到達、ORRは高ソト群26.4%、低ソト群5.7%、選択治療群0%であった。
・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、高ソト群36%、低ソト群30%、選択治療群43%で発現した。5%以上に発現したのは、高ソト群はざ瘡様皮膚炎(11.3%)、低マグネシウム血症(5.7%)、発疹(5.7%)、低ソト群は低マグネシウム血症(7.5%)、下痢(5.7%)、選択治療群は好中球減少症(23.5%)、貧血(5.9%)、高血圧(5.9%)であった。致命的なTRAEはなかった。

 Pietrantonio氏は「ソトラシブ+パニツムマブ併用療法は、本試験の主要評価項目を達成し、とくに高ソト群は優れた臨床的ベネフィットを示した。Grade3以上のTRAEは両ソト群で選択治療群より少なく、忍容性が認められた。以上から、ソトラシブ+パニツムマブ併用療法は新たな標準療法となり、非小細胞肺がん同様に、ソトラシブ960mgのレジメンが支持される」と結論付けた。

(ケアネット 杉崎 真名)

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