新型コロナ、住民への注意喚起のタイミングの目安を発表/厚労省

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2023/08/11

 

 厚生労働省は8月9日の事務連絡にて、感染拡大する新型コロナウイルス感染症の早期対応のため、各都道府県に向けて住民等に注意喚起を行う際の検討の参考となるタイミングの目安を発表した1)

 なお、本目安は、新型コロナ流行時において医療への負荷が主たる課題となることから、感染拡大が継続したとしても医療提供体制を確保するために設定されたものであり、感染症サーベイランスにおける感染症の流行の程度に関する注意報・警報レベルとは考え方が異なる。また、本目安は暫定的に設定されたもので、今後の流行状況等を踏まえ、変更される可能性もあるという。

 今回設定された住民への注意喚起等の目安は以下のとおり。

1 住民への注意喚起等として考えられる内容
(1)住民への注意喚起
 都道府県において、住民に対し、医療に負荷がかかっている状況とあわせて、以下の注意喚起を行うことが考えられる。
1. 発熱等の体調不良時、発症後5日間、症状軽快後24時間経過するまで外出を控えること2. 手洗いや換気などの基本的な感染対策の強化
3. マスク着用推奨場面(医療機関や高齢者施設等の訪問時)でのマスク着用の徹底
4. 軽症時や検査、診断書発行等のための救急受診を控えること
5. 軽症の場合の自宅療養(食料、医薬品、検査キット等の準備)

(2)医療提供体制等の強化
 「今夏の新型コロナウイルス感染症等の感染拡大に備えた保健・医療提供体制の確認等について」(令和5年7月14日付事務連絡)で示されたとおり2)、感染拡大が継続したとしても医療提供体制を確保するため、以下の事項が徹底されるよう、各都道府県において、改めて病院長会議等を通じた医療関係者等との協議、入院先決定における助言等の必要な支援を行うことが考えられる。
1. 医療機関間の入院先の決定にあたり、重症者等を優先すること
2. 地域における医療機関の役割に応じた受け入れを行うこと(重症者を受け入れる急性期病院、状態改善後の転院先として軽症者を受け入れる回復期病院等)
3. 新型コロナ以外の疾患により入院している患者が新型コロナに感染した場合に、転院させず、継続的に診療を行うこと
4. 円滑な入院調整を行うためのG-MIS等の活用
5. 自宅等における療養体制を確保すること(薬局、訪問看護事業所、ケアマネジャー等との連携、酸素濃縮装置の確保等)
6. 高齢者施設等における療養体制を確保すること

2 都道府県による住民への注意喚起等の目安について
 各都道府県において、1に示した住民への注意喚起や医療提供体制の強化(医療機関等への呼びかけ)を行う場合に、その参考となりうる目安を以下のとおり示すこととする。下記の目安も参考にして、過去の流行及びこれに伴う医療への負荷も含めて総合的に勘案し、必要に応じて基準を設定する(※)など、地域の実情に応じた対応をお願いしたい。
(※)既に独自の基準等を設定して対応している都道府県に対して、変更を求めるものではない。また本目安は暫定的であり、今後変更される可能性がある。

(1)目安の設定の考え方
 これまでの考え方3,4)や直近の沖縄県における感染拡大の状況等を踏まえ、感染者数のピークの2週間前、在院者数及び確保病床使用率のピークの3週間前の数値を参考に目安を設定。

(2)考えられる目安
・外来の状況:「外来逼迫あり」割合(※)が25%を超えるとき
・定点あたり報告数:直近のオミクロン株による感染拡大時の「外来逼迫あり」割合(※)のピーク時から2週間前の「定点当たり報告数」を超えるとき

注 なお、足下の医療提供体制の状況も踏まえ、直近のピーク時を参照するのではなく、別途、個別に設定することも考えられる。
(※)「外来逼迫あり」割合とは、医療機関等情報支援システム(G-MIS)の週次調査において、診療枠の関係で、当日中の来院を断っているかどうかを目安に、逼迫が生じていたかについて、該当ありと回答した医療機関の割合を指す。
・在院者数:これまでのオミクロン株による感染拡大ピーク時の当該数の1/2を超えるとき(過去の感染拡大ピーク時と比較して軽症者の割合が高い場合は除くなど、入院患者の重症度等に応じて判断)。※欠勤している医療従事者数5)、救急搬送困難事案件数の増加傾向も参考とする。
・確保病床使用率:50%を超えるとき(確保病床外の在院者数も留意すること。また、過去の感染拡大ピーク時と比較して軽症者の割合が高い場合は除くなど、入院患者の重症度等に応じて判断)。

※(2)で記載した目安については、すべての目安を活用して各都道府県において基準の設定を求めるものではなく、これらを参考にして、総合的に勘案した上で必要に応じて基準を設定し、注意喚起などに活用することを想定している。
※厚生労働省においても、各都道府県と密接に連携するとともに、感染拡大や医療提供体制の状況を踏まえて、必要に応じてリエゾン派遣等の支援を行うこととしている。

■参考文献・参考サイト
1)厚生労働省:新型コロナウイルス感染症に関する住民への注意喚起等の目安について(令和5年8月9日)
2)厚生労働省:今夏の新型コロナウイルス感染症等の感染拡大に備えた保健・医療提供体制の確認等について(令和5年7月14日)

3)BA.5強化宣言(令和4年7月新型コロナウイルス感染症対策本部決定)
4)今秋以降の感染拡大で保健医療への負荷が高まった場合に想定される対応(令和4年11月新型コロナウイルス感染症対策分科会)
5)重点医療機関における新型コロナウイルス感染症に関連して休んでいる看護職員数

(ケアネット 古賀 公子)