世界初「NASH治療用アプリ」の効果を臨床試験で確認/東大

肥満を背景に発症する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、国内に200万人程度(予備軍は推定1,000万人以上)存在すると考えられているが、確立された治療法がなく、減量のための栄養指導や医師からの運動の励行など、個々の施設の取り組みにとどまっているのが現状である。そこで、東京大学医学部附属病院検査部の佐藤 雅哉氏らの研究グループは、疾患治療用プログラム医療機器の開発を手がけるCureAppと共同開発した「NASH治療用アプリ」を用いた第II相試験を実施し、その有用性が認められた。本研究結果は、American Journal of Gastroenterology誌オンライン版2023年1月20日号に掲載された。
研究グループは、組織学的にNASHと診断された19例を対象として、多施設共同単群第II相試験を48週間の期間で実施した。主要評価項目は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病理学的スコアNAFLD Activity Score(NAS)の変化量、副次評価項目は、肝線維化の悪化を認めないNASスコア2点以上の改善、体重変化、肝線維化の退縮などであった。
主な結果は以下のとおり。
・NASスコアの改善が認められた患者の割合は68.4%(13/19例)であった。
・NASスコアのベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)は-2.05±1.96であり、有意な改善が認められた(p<0.001、過去の研究における経過観察群のデータを基に設定した閾値-0.7との比較)。
・NASスコア2点以上の改善が認められた患者の割合は57.9%(11/19例)であった。
・試験終了時の体重変化率(平均値)は-8.3%であった。
・ベースライン時に中等度以上の肝線維化が認められた患者(肝線維化stageがF2またはF3)において、肝線維化stageの改善が58.3%(7/12例)に認められた。
(ケアネット 佐藤 亮)
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