神経線維腫症1型における叢状神経線維腫治療薬「コセルゴカプセル」発売/アレクシオン

提供元:ケアネット

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公開日:2022/11/22

 

 アレクシオンファーマは、11月16日付のプレスリリースで、「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」の効能または効果として、コセルゴカプセル10mgおよび25mg(一般名:セルメチニブ硫酸塩)の販売を11月16日より開始したことを発表した。

コセルゴカプセルは国内初の神経線維腫症1型における叢状神経線維腫の治療薬

 神経線維腫症1型(NF1)は、世界で出生約3,000人に1人が罹患している遺伝性疾患であり、10歳未満の小児で最もよく診断される。患者の30~50%で神経鞘に叢状神経線維腫(PN)が発生し、外見の変形、運動機能障害、疼痛、気道の障害、視力障害、膀胱/腸の機能障害などの病的状態を引き起こすことがある。PNは幼児期に発症し、その重症度は多岐にわたる。神経線維腫症1型患者では健康な人と比較して、平均余命が最長で15年短くなる可能性があるとの報告もある。にもかかわらず、主な治療選択肢が手術に限られるケースもあり、新たな治療法の登場が望まれていた。

 コセルゴカプセルは、細胞増殖に関与する酵素である分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MEK1およびMEK2)を阻害することにより、神経線維腫症1型の症状発現に関与する腫瘍細胞の増殖を抑制する薬剤である。コセルゴカプセルの承認は、米国国立がん研究所(NCI)のがん治療評価プログラム(CTEP)によるSPRINT試験第II相パート層1の結果に基づいている。コセルゴカプセルを3~18歳の疼痛や外観上の変形などの臨床症状を有し、重大な合併症のリスクを伴うことなく切除できないPNを有する患者に経口投与したところ、腫瘍の縮小が認められ、客観的奏効率(ORR:完全奏効[PNの消失]または部分奏効[20%以上の腫瘍縮小]が確認された患者の割合と定義)は66%(50例中33例)であったことが示された。SPRINT試験で最も多くみられた副作用は、嘔吐、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、下痢、悪心であった。さらに、症候性かつ手術不能なPNを有する3~18歳の日本の神経線維腫症1型患者を対象とした第I相試験において腫瘍が縮小したと示された点も承認の根拠として評価された。

 アレクシオンファーマ社長の笠茂 公弘氏は、「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫は今まで根本的な治療薬がなく、主な治療選択肢が手術に限られていた。そのため、痛みを伴う身体的な苦痛、外見の変形などの問題に起因する精神的な苦痛に加え、病態の進行や予後への不安を抱えながら生活する患者さん、患者さんのご家族も少なくない。国内初の治療薬コセルゴを、新たな希望として患者さんとそのご家族に届けられることは大変喜ばしく、われわれにとって大きな励みとなる。引き続き『すべての希少疾患を持つ人々に人生を変える治療法と希望を届ける』という当社のパーパスのために、革新的な治療法の研究開発に努める」としている。

(ケアネット)