ドパミン過感受性精神病患者に対する長時間作用型注射剤による長期治療の有効性

提供元:ケアネット

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公開日:2022/07/07

 

 ドパミン過感受性精神病(DSP)は、抗精神病薬によるドパミンD2受容体のアップレギュレーションに起因すると考えられ、統合失調症患者の不安定な精神症状と関連している。抗精神病薬の長時間作用型注射剤(LAI)は、ドパミン過感受性のコントロールに有用である可能性が示唆されているが、LAIによる長期治療がDSPの発生や悪化にどのような影響を及ぼすかは、よくわかっていない。千葉大学の小暮 正信氏らは、DSPの有無によりLAIによる長期治療の効果に違いがみられるかを検討した。その結果、DSP患者に対する少なくとも3年間のLAI治療の有効性が確認され、LAI治療がDSPを悪化させる可能性は低いことが示唆された。著者らは、その要因として、LAI導入による抗精神病薬の総投与量の大幅な減少が挙げられる可能性があるとしている。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2022年6月17日号の報告。

 対象は、3年以上のLAI治療が行われた統合失調症患者58例。LAI導入前3年間の医療記録からDSPの有無を確認し、DSP群(30例)または非DSP群(28例)に分類した。LAI導入後3年間の臨床経過を評価するため、LAI治療の効果を両群間で比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・両群ともに、抗精神病薬投与量(LAIと経口剤の併用)の有意な減少、臨床全般印象度の改善度(CGI-I)の測定による有意な改善が認められた。
・各指標について両群間で差が認められなかったことから、DSPの有無にかかわらずLAIの長期治療効果が類似していることが示唆された。
・平均して、DSP群は非DSP群と比較し、LAI導入前は高用量の抗精神病薬で治療されていたが、LAI導入後にそれらは標準用量の範囲内まで減少した(LAI導入前:1,004.8mg、LAI導入後:662.0mg)。

(鷹野 敦夫)