CLLに対するBTK阻害薬、アカラブルチニブvs.イブルチニブ/ASCO2021

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/14

 

 2021年3月、再発・難治の慢性リンパ性白血病(CLL)治療に対して選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬アカラブルチニブが国内承認された。アカラブルチニブの有用性を先行薬イブルチニブと比較した非盲検非劣性第III相無作為化比較試験ELEVATE-RRの結果について、オハイオ州立大学のJohn C. Byrd氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。

・対象:17p欠失または11q欠失判定、ECOG PS≦2で治療歴のあるCLL患者(17p欠失の有無、ECOG PS[2vs.≦1]、前治療の回数[1~3 vs.≧4]で層別化)
・試験群:アカラブルチニブ群(Aca群:100mg 1日2回)
・対照群:イブルチニブ群(Ib群:420mg 1日1回)
 いずれも無増悪または許容できない毒性が発現するまで経口投与
・評価項目:
[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]全Gradeの心房細動(AF)、Grade3以上の感染症、リヒター症候群、全生存期間(OS)

 主な結果は以下のとおり。

・533例(Aca群:268例、Ib群:265例)は年齢中央値66歳、前治療歴中央値2回、17p欠失45.2%・11q欠失64.2%だった。
・観察期間中央値40.9ヵ月時点での両群のPFS中央値は38.4ヵ月で、Aca群はIb群に対して非劣性を示した(HR:1.00、95%CI:0.79~1.27)。
・AF発生率では、Aca群がIb群よりも統計的に優れていた(9.4%vs.16.0%、p=0.023)。
・副次評価項目のうち、Grade3以上の感染症(Aca群:30.8%、Ib群:30.0%)およびリヒター症候群(Aca群:3.8%、Ib群:4.9%)の発生率は同等だった。
・いずれかの群で20%以上の患者に発生した有害事象のうち、Aca群は高血圧(9.4%、23.2%)、関節痛(15.8%、22.8%)、下痢(34.6%、46.0%)の発生率が低かったが、頭痛(34.6%、20.2%)、咳(28.9%、21.3%)の発生率が高かった。
・有害事象により治療を中止したのは、Aca群では14.7%、Ib投与群では21.3%だった。

 Byrd氏は、アカラブルチニブはイブルチニブと比較して心毒性が少なく、有害事象による中止も少なく、PFSが非劣性であることが示された、とまとめている。

(ケアネット 杉崎 真名)

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