MSのB細胞を標的とする治療薬発売/ノバルティス ファーマ

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/02

 

 ノバルティス ファーマ株式会社は、多発性硬化症(以下「MS」)に対してわが国で初めてのB細胞を標的とする治療法であるオファツムマブ(商品名:ケシンプタ皮下注 20mgペン)を発売した。

 MSは、ミエリンの損傷、脳、視神経および脊髄の機能障害を特徴とする中枢神経系の慢性炎症性疾患。わが国のMS患者数は約1万5千人とされ、年々増加している。また、発症のピークは20歳代で、女性に多い疾患。MSは、再発期と寛解期を繰り返す再発寛解型MS(RRMS)として経過し、半数は次第に再発の有無にかかわらず病状が進行する二次性進行型(SPMS)に移行する。進行期に移行すると日常生活に影響を及ぼす不可逆的な身体的障害が徐々にみられるようになる。また、認知機能障害が進み、雇用に影響をもたらすこともあり、日常生活において、次第に家族のサポートが必要となることから、進行の症状は患者のみならず家族の社会生活にも少なからず影響を与える指定難病である。

日本初のB細胞を標的とした治療

 今回発売されたオファツムマブは、ペン型デバイスを用いて月1回皮下投与で治療可能な完全ヒト抗CD20モノクローナル抗体で、主にリンパ節のCD20陽性B細胞表面に結合することにより、B細胞の融解および減少を誘発する、国内で初めてのMSに対するB細胞を標的とする治療法。B細胞はMSの障害進行の原因となる炎症性サイトカイン産生やT細胞の異常活性化を促すため、B細胞の除去がMSの効果的な病態修飾ならびに優れた臨床的有効性の発現につながると考えられている。また、B細胞は、MS病態における初期から進行期に至る一連の臨床経過ステージにおいて関与が示唆されていることから、幅広い患者に対して治療選択肢となることが期待されている。

製品概要
製品名:ケシンプタ皮下注 20mgペン
一般名:オファツムマブ
効能・効果:
下記患者における再発予防および身体的障害の進行抑制
再発寛解型多発性硬化症
疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症
用法・用量:通常、成人にはオファツムマブ(遺伝子組換え)として1回20mgを初回、1週後、2週後、4週後に皮下注射し、以降は4週間隔で皮下注射する。
製造発売承認日: 2021年3月23日
発売日:2021年5月24日
薬価:20mg 0.4mL 1キット:230,860円
製造販売元:ノバルティス ファーマ株式会社

(ケアネット 稲川 進)