アベマシクリブ+内分泌療法、高齢乳がん患者での有効性と安全性(MONARCH-2、-3)

提供元:ケアネット

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公開日:2021/01/27

 

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性進行乳がんに対する、アベマシクリブと内分泌療法(ET)の併用は、第III相MONARCH-2試験(フルベストラント)およびMONARCH-3試験(アナストロゾールまたはレトロゾール)で有効性が示されている。米国・メイヨー・クリニックのMatthew P Goetz氏らは、両試験の年齢別サブグループ解析を実施。高齢患者における有効性と安全性について、Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2021年1月3日号で報告した。

 MONARCH-2および-3試験における探索的解析が、3つの年齢グループ(<65歳、65~74歳、および≧75歳)に対して行われた。安全性については両試験からのプールデータが用いられ、有効性についてはPFSのサブグループ解析を各試験データでそれぞれ実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・プールされた安全性データは、1,152例について利用可能であった。
・臨床的に関連する下痢(Grade2/3)は、アベマシクリブ+ET群で多く発生し、65歳以上の2つのグループでより多くみられた(<65歳:39.5%、65~74歳:45.2%、≧75歳:55.4%)。プラセボ+ET群では、<65歳:6.8%、65~74歳:4.5%、≧75歳:16.0%。
・VTE発生率(全Grade)は、アベマシクリブ+ET群では<65歳(4.1%)および65~74歳(5.0%)となり、≧75歳(13.3%)でより高い傾向がみられた。プラセボ群では<65歳:0.5%、65~74歳:0.9%、≧75歳:2.0%。
・悪心や食欲不振は、アベマシクリブ+ET群で多く発生し、65歳以上の2グループでやや増加する傾向がみられた。
・一方、好中球減少症、貧血、白血球減少症などの血液毒性(全Grade)は、プラセボ群と比較してアベマシクリブ+ ET群で多かったが、年齢グループ間で発生率に差はみられなかった。
・アベマシクリブ+ ET群での用量調整(<65歳:63.1%、65~74歳:74.4%、≧75歳:75.9%)および有害事象(AE)による治療中止(<65歳:8.8%、65~74歳:14.2%、≧75歳:24.1%)は、65歳未満と比較して65歳以上でやや増加していた。
・アベマシクリブ+ ET群は、患者の年齢に関係なく、プラセボ+ ET群と比較してPFSを改善し、3つの年齢グループ間で治療効果に有意差はみられなかった(MONARCH-2:相互作用のp=0.695、MONARCH- 3:相互作用のp=0.634)。推定ハザード比は、0.523~0.633(MONARCH-2)および0.480~0.635(MONARCH-3)の範囲であった。

 著者らは、高齢の患者ではより高い割合の有害事象が報告されたが、それらは用量調整と併用薬で管理可能であり、すべての年齢層で一貫した有効性の利点が観察されたと結論づけている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)