再発難治性多発性骨髄腫、ベネトクラクス+ボルテゾミブ+デキサメタゾンの成績(BELLINI)/Lancet Oncol

再発難治性多発性骨髄腫に対するベネトクラクス+ボルテゾミブ+デキサメタゾン療法(VBd療法)の、第III相多施設共同二重盲検無作為化試験「BELLINI試験」の結果が、米国・メイヨー・クリニックのShaji K. Kumar氏らにより論文発表された。VBd療法は、第I相試験で忍容性と安全性が確認され、臨床効果が示唆されていた。BELLINI試験は16ヵ国90病院で行われ、VBd療法はボルテゾミブ+デキサメタゾン療法(Bd療法)と比較して、主要評価項目である無増悪生存(PFS)期間を有意に改善することが示された。ただし、主に感染症の発現増加によりVBd療法において死亡の増加がみられ、著者は「VBd療法については患者を適切に選択することが重要である」とまとめている。Lancet Oncology誌オンライン版2020年10月29日号掲載の報告。
BELLINI試験は、ECOG PSが2以下で1~3レジメンの治療歴がある18歳以上の再発難治性多発性骨髄腫患者を対象とし、被験者はVBd群またはプラセボ+Bd群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。ベネトクラクスは800mg/日、ボルテゾミブは1.3mg/m2、デキサメタゾンは20mgとし、最初の8サイクルは1サイクル21日、9サイクル以降は1サイクル35日として、病勢進行、許容できない毒性発現または患者の同意撤回まで投与を継続した。
主要評価項目は、ITT集団における独立評価委員会判定によるPFS。安全性については、治験薬を少なくとも1回投与された患者を解析対象集団に包含し評価した。
主な結果は以下のとおり。
・2016年7月19日~2017年10月31日に、291例がVBd群(194例)またはBd群(97例)に無作為に割り付けられた。
・追跡期間中央値18.7ヵ月において、主要評価項目のPFS中央値は、VBd群22.4ヵ月、Bd群11.5ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.63、95%CI:0.44~0.90、p=0.010)。
・主なGrade3以上の有害事象は、好中球減少(VBd群193例中35例[18%]vs.Bd群96例中7例[7%])、肺炎(30例[16%]vs.9例[9%])、血小板減少(28例[15%]vs.29例[30%])、貧血(28例[15%]vs.14例[15%])、下痢(28例[15%]vs.11例[11%])であった。
・重篤な有害事象は、VBd群で93例(48%)、Bd群で48例(50%)に発現した。
・治療下で発現した致死的感染症は、VBd群8例(4%)、Bd群0例であった。
・VBd群の3例の死亡(肺炎2例、敗血症性ショック1例)は、治療との因果関係ありと判定された。Bd群で治療と関連のある死亡は報告されなかった。
(ケアネット)
[ 最新ニュース ]

急性脳梗塞、血管内治療単独vs.静脈内血栓溶解療法併用/JAMA(2021/01/28)

1型DM患者へのインスリンポンプ、従来型vs.次世代型/Lancet(2021/01/28)

春は他人の「くしゃみ」が気になる季節/ノバルティスファーマ(2021/01/28)

日本人双極性障害患者とうつ病患者の認知機能の比較(2021/01/28)

米国でも新型コロナウイルス集団免疫獲得にはほど遠い(2021/01/28)

ホスピタルクラウンが入院患児の不安を軽減(2021/01/28)

マスクによる感染防止の効果のほどは?(2021/01/28)
[ あわせて読みたい ]
Dr.田中和豊の血液検査指南 総論・血算編(2020/11/10)
【次世代の創薬モダリティ「siRNA」】第4回:siRNA医薬品の未来(2020/02/25)
【次世代の創薬モダリティ「siRNA」】第3回:siRNA医薬品誕生までの道のり(2020/02/17)
【次世代の創薬モダリティ「siRNA」】第2回:核酸医薬の開発が目指す先(2020/02/10)
【次世代の創薬モダリティ「siRNA」】第1回:核酸医薬とは?(2020/02/03)
Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 医療関連感染症編(2020/02/10)
毎日使える 街場の血液学(2019/10/09)
長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.3(2018/08/07)
消化器がん特集(2018/06/21)
第15回 肺がん治療、患者と医療者の“スキマ”とは?【肺がんインタビュー】(2018/05/09)