多発性骨髄腫導入療法、カルフィルゾミブ3剤併用療法 vs.ボルテゾミブ3剤併用療法(ENDURANCE)/ASCO2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/18

 

 米国・メイヨー・クリニックのShaji K. Kumar氏は未治療の多発性骨髄腫への導入療法として、従来から標準療法として用いられているプロテアソーム阻害薬ボルテゾミブとレナリドミド、デキサメタゾンの3剤併用療法(VRd)と、ボルテゾミブに代えて新規次プロテアソーム阻害薬のカルフィルゾミブを使用する3剤併用療法(KRd)を比較した無作為化第III相比較試験の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表した。

・対象:前治療歴がない多発性骨髄腫患者1,087例(PS 0~2)。FISH法によるt(14;16)、t(14;20)、17p13 欠失、LDHが正常上限の2倍以上の高リスク群、形質細胞性白血病患者、Grade2以上の末梢神経障害を有する患者、NYHA心機能分類III~IV度の心不全患者などは対象から除外
・試験群:カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン、4週ごと最大9サイクル(KRd群、545例)
・対照群:ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン、3週ごと最大12サイクル(VRd群、542例)
 両群36週間の治療終了後、レナリドミド維持治療継続群とレナリドミド2年間維持治療群に1:1に2度目の割り付け
・評価項目:
[主要評価項目]導入療法での無増悪生存期間(PFS)、維持治療での全生存期間(OS)
[副次評価項目]寛解率、微小残存病変(MRD)陰性率、増悪までの期間、OS、毒性
[その他]導入療法期間中と終了後にQOL評価

 主な結果は以下のとおり。

・PFS中央値はVRd群34.4ヵ月、KRd群34.6ヵ月で有意差はなかった(ハザード比[HR]:1.04、95%CI:0.83~1.31、p=0.742)。
・70歳以上のPFS中央値はVRd群37ヵ月、KRd群28ヵ月であった。
・サブグループ解析では、70歳以上、男性でVRd群が良好だった。
・厳格な完全寛解(sCR)はVRd群が4.0%、KRd群が5.9%、完全寛解(CR)はそれぞれ10.8%、12.4%、非常に良い部分寛解(VGPR)はぞれぞれ49.9%、55.5%、部分寛解(PR)はそれぞれ19.5%、12.9%であった。
・OS中央値は両群とも未達(HR:0.98、95%CI:0.71~1.36、p=0.923)、3年OS率はVRd群が84%、KRd群が86%であった。
・Grade3以上の治療関連有害事象発現率はVRd群59.4%、KRd群65.6%(p=0.038)、非血液毒性発現率はVRd群41.4%、KRd群48.3%だった(p=0.024)。

 今回の結果から、Kumar氏は「新規診断の多発性骨髄腫に対する導入療法としてはVRdが依然として標準治療である」と述べた。

(ケアネット)