病院ランキングと患者アウトカムは関連する?/JAMA Surgery

提供元:ケアネット

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公開日:2019/08/16

 

 出版不況と言われる中、相変わらず病院ランキング本だけは堅調と言われている。米国の病院ランキング本をめぐる興味深いエビデンスが報告された。米国・カリフォルニア大学アーバイン医療センターのSahil Gambhir氏らが、US News & World Report(USNWR)掲載の年間ランキングが最高位の病院について、ランキング外の病院と比較した結果、高度な腹腔鏡下消化器外科手術に関する病院ランキングデータと、良好な患者アウトカムは関連していないことが示された。手術件数は3倍の差があったが、その量的格差と患者アウトカム改善の関連は認められなかったという。JAMA Surgery誌オンライン版2019年7月31日号掲載の報告。

 研究グループは、消化器外科手術に関してUSNWRで最高位ランクの病院が、ランク外の病院と比較して、一般的な高度腹腔鏡下消化器手術について患者のアウトカムを改善したかを調べた。

 検討には、米国の大学病院およびその関連病院について、入院患者の情報(入院治療情報、臨床情報、費用情報)が含まれるVizient社のデータベースを使用した。2017年1月1日~12月31日に行われた高度腹腔鏡下消化器手術に関する、USNWR最高位ランク病院とランク外病院のデータを入手し解析した。対象とした手術は、減量手術、大腸および食道裂孔ヘルニアの手術であった。

 評価項目は、院内死亡率、死亡率指標(予想に対して観察された死亡率の比)、重篤な合併症、入院期間、コストなどであった。

 主な結果は以下のとおり。

・合計5万1,869件の高度腹腔鏡下消化器手術が、351の大学医療センターおよび関連病院で施行された。1万6,296件(31.4%)が最高位ランク41病院で施行されたものであり、3万5,573件(68.6%)がランク外310病院での施行であった。
・年間症例件数は、最高位ランク病院397件に対し、ランク外病院は114件であった。
・最高位ランク病院とランク外病院の間に、院内死亡率(0.04% vs.0.07%、p=0.33)、重篤な合併症(1.06% vs.1.02%、p=0.75)について有意差は認められなかった。
・ランク外病院と比較して最高位ランク病院で施行される高度腹腔鏡下消化器手術は、平均コストがより高値であり(7,128ドル vs.7,742ドル、p<0.01)、平均入院期間がより長期であった(2.38日 vs.2.73日、p<0.01)。

(ケアネット)