白内障手術に新たなデバイス、国内初の技術で負担軽減に期待

提供元:ケアネット

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公開日:2019/02/19

 

 2019年2月4日、日本アルコン株式会社は、同日正式発売となった自動プリロード眼内レンズデリバリーシステム「Clareon AutonoMe」に関する、メディアセミナーを開催した。その中で、医療法人社団ライト 理事長の荒井 宏幸氏は「国内初導入!最先端白内障治療用眼内レンズのすべて」と題して、白内障手術における術式の歩みや、眼内レンズの挿入を自動化することのメリットなどについて講演を行った。

負担軽減が進む白内障手術
 白内障を発症すると、水晶体が濁ってくることで光が通りにくくなり、最終的に失明に至るため、水晶体の交換が必要となる。その際、角膜を切開し、眼内レンズ(IOL)を挿入する必要があるが、IOLおよびIOLを挿入するのに用いるインジェクターの進歩に伴い、必要となる切開創の長さが年々短くなってきている。20年前は角膜を半周程度切開して、IOLを挿入する必要があったが、現在では2~3mm程度の切開創から折りたたまれたIOLを挿入する術式が主流となっており、日帰り手術の施行も可能となっている。

国内初、革新的なデバイスの登場
 IOLの挿入に用いるインジェクターは、これまで手動式のものしか販売されていなかった。手動式のインジェクターを使用する際には、セッシ(ピンセット)を用いて直径6mm程度のIOLをカートリッジにセットし、ネジ式のプランジャーでカートリッジから眼内にレンズを押し出して挿入する。その工程が複雑なだけでなく、セッシで直接IOLに触れる必要があるため、IOLを傷つけたり不潔にしてしまうリスクがあった。また、荒井氏は医師目線で「(手動式のインジェクターは)両手での操作が求められるため、不測の事態に対応しにくい」と語る。

 一方、「Clareon AutonoMe」は自動式であり、あらかじめデバイス内にセットされた状態のレンズが、炭酸ガス駆動のプランジャーによって眼内に押し出され、挿入される。そのため、じかに触れることなくIOLを眼内に挿入することが可能だ。また、術者は片手でのIOL挿入が可能となり、「空いた手で不測の事態に備えることができる」(荒井氏)。さらに、従来の手動式のデバイスと比較して、眼内に挿入される部分が少なく感染症リスクの減少も期待できるという。

医師不足、高齢化時代の切り札となるか
 荒井氏は講演の中で、「術者の熟練度による差を減少させ、再現性の高い眼内IOL挿入が可能になる」と「Clareon AutonoMe」の臨床的意義を強調した。高齢化により、今後ますます白内障手術を受ける患者が増えることが予想される。そのような中、手技に関する医師間のバラつきが減少し、どの施設でも安全・確実な治療を受けられるようにすることは非常に重要となる。医師不足と高齢化が進む日本において、「Clareon AutonoMe」は白内障手術に大きな進歩をもたらす存在となるかもしれない。

(ケアネット 門脇 剛)