EGFR変異陽性肺がん、今後の治療シークエンスは? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/11/27 EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するEGFR-TKIの選択肢が増えてきている。これらの薬剤をどう使用すれば、患者さんにとって最大限のベネフィットが得られるのだろうか。2017年10月30日に開催されたアストラゼネカ株式会社主催のメディアセミナーで、関 順彦氏(帝京大学医学部附属病院腫瘍内科 教授)が、開発中の薬剤を含め、各薬剤の無増悪生存期間(PFS)や毒性から、今後の治療シークエンスについて展望した。 現在、EGFR変異陽性進行NSCLCの1次治療として承認されているのは、EGFR-TKIのゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブの3剤で、これらのPFS中央値はどれも約10~11ヵ月である。これらの薬剤が耐性となった患者の約50%はT790M陽性であり、オシメルチニブが有効である。2次治療でのオシメルチニブの効果を検討したAURA3試験(第III相)において、PFS中央値が10.1ヵ月(対照群のプラチナ製剤+ペメトレキセドは4.4ヵ月)であったことから、1次治療と2次治療を合わせたPFS中央値が約20ヵ月まで延長すると、関氏は説明した。 一方、オシメルチニブの1次治療(未承認)でのPFS中央値は、オシメルチニブと標準治療(ゲフィチニブもしくはエルロチニブ)を比較したFLAURA試験(第III相試験)で18.9ヵ月(標準治療は10.2ヵ月)と9月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された。また、10月の日本肺癌学会で発表された日本人サブセットにおけるPFS中央値も、19.1ヵ月と全体とほぼ同様の結果であった(標準治療は13.8ヵ月)。 そのほか1次治療として開発されている薬剤では、第2世代EGFR-TKIのdacomitinib のPFS中央値が14.7ヵ月(第III相試験)、エルロチニブとベバシズマブの併用が16.0ヵ月(第II相試験)と報告されている。これらによる1次治療後、T790M陽性の患者に2次治療としてオシメルチニブを使用すると、1次治療と2次治療を合わせたPFS中央値はそれぞれ約25ヵ月と約26ヵ月となり、オシメルチニブによる1次治療のPFS中央値より長い。しかしながら、関氏は、1次治療としてdacomitinibやエルロチニブとベバシズマブの併用を用いた場合、2次治療では約半数にあたるT790M陰性の患者は化学療法を使用せざるを得ないことを指摘した。さらに、オシメルチニブがこれらより忍容性が高いことを強調し、1次治療では「オシメルチニブがまずは標準治療になるべき」とし、「そこからオプションを考えていく治療になるだろう」と述べた。 また、オシメルチニブを1次治療で使用すると分子標的薬のシークエンスができないのではないかとの考えには、オシメルチニブを1次治療の基軸とした開発が進んでいることを紹介し、「近未来的には、オシメルチニブの後に化学療法しか使えないという状況にはならないだろう」と予測した。 ■関連記事 HR0.46、オシメルチニブが1次治療で標準治療を上回る(FLAURA)/ESMO2017 オシメルチニブ、FLAURA試験の日本人サブグループ解析/日本肺癌学会2017 オシメルチニブ、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療でブレークスルー・セラピーに指定 (ケアネット 金沢 浩子) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 症候性心房細動への肺静脈隔離術vs.シャム/JAMA(2024/10/04) インスリン未治療の2型糖尿病、efsitora vs.デグルデク/NEJM(2024/10/04) SGLT2阻害薬は認知症の発症をも予防できるのか?(解説:住谷哲氏)(2024/10/04) ワクチン接種はかかりつけ医に相談を/日医(2024/10/04) pMMR/MSS大腸がん、免疫検査陽性例はペムブロリズマブ上乗せが奏効(POCHI)/ESMO2024(2024/10/04) 高齢者へのImpellaの安全性・有効性~J-PVADレジストリより/日本心臓病学会(2024/10/04) やりがい?ワークライフバランス?若手医師が専攻領域を選んだ理由・変更した理由(2024/10/04) 国内初HIV曝露前予防(PrEP)適応取得、その意義と残された課題/ギリアド(2024/10/04) 統合失調症における抗精神病薬使用と心臓突然死との関連(2024/10/04) [ あわせて読みたい ] Dr.林の笑劇的救急問答13<上巻>(2017/10/07) 国立国際医療研究センター総合診療科presents 内科インテンシブレビュー2017 (2枚組)(2017/09/07) Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(上巻)(2017/09/07) 救急エコー最速RUSH! (2017/07/07) 肺がん特集まとめインデックス(2017/06/20) 肺がん特集(2017/06/20)