新規経口抗凝固薬、眼内出血リスクはワルファリンの5分の1

眼内出血リスクは、新規経口抗凝固薬でワルファリンの約5分の1に低下することが、オーストラリア・アデレード大学のMichelle T. Sun氏らによるメタ解析の結果、明らかとなった。新規経口抗凝固薬のベネフィットは、心房細動患者と静脈血栓塞栓症患者とで類似していた。今回の結果は、自然発生的な網膜または網膜下出血の高リスク患者にとってとくに問題であり、著者は、「周術期には新規経口抗凝固薬を使用したほうが良いかもしれないことが示唆された。今後、眼疾患と心血管疾患の両方を有する患者の最適な管理についての研究が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年7月6日号掲載の報告。
研究グループは、ワルファリンと新規経口抗凝固薬の眼内出血リスクを比較する目的で、システマティックレビューとメタ解析を行った。
MEDLINEおよびClinicalTrials.govを用い、2016年8月までに発表された無作為化臨床試験を検索し、特定された臨床試験の論文および他の総説の引用文献についてもマニュアル検索をした。心房細動患者または静脈血栓塞栓症患者が対象であり、新規経口抗凝固薬(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンまたはエドキサバン)とワルファリンを比較した第III相無作為化臨床試験で、眼内出血に関するデータが記録された試験をメタ解析の対象とした。
眼内出血に関するデータは、逆分散重み付け固定効果モデルを用いて統合した。データの要約と質の評価はPRISMAガイドラインに従うとともに、2人の研究者が独立してデータを抽出。主要評価項目は、ワルファリンに対する新規経口抗凝固薬の眼内出血イベントとリスク比であった。
主な結果は以下のとおり。
・12件の臨床試験(合計10万2,627例)がレビューに組み込まれた。
・新規経口抗凝固薬は、ワルファリンと比較し相対的に眼内出血が22%減少した(リスク比:0.78、95%信頼区間[CI]:0.61~0.99)。
・有意な異質性は認められなかった(I2=4.8%、p=0.40)。
・サブグループ解析でも、新規経口抗凝固薬の眼内出血リスクの低さは同様にみられ、新規経口抗凝固薬の適応症(異質性のp=0.49)または種類(異質性のp=0.15)によって有意差はなかった。
・要約推定値は、ランダム効果モデルを用いた場合でも大きな違いはなかった。
(ケアネット)
[ 最新ニュース ]

慢性C型肝炎、ソホスブビル/ダクラタスビルvs.ソホスブビル/ベルパタスビル/Lancet(2025/05/16)

obicetrapib/エゼチミブ配合剤、LDL-コレステロール低下に有効/Lancet(2025/05/16)

死亡リスクの高いPAH患者に対するアクチビンシグナル伝達阻害剤sotatercept上乗せの有効性が証明された(解説:原田和昌氏)(2025/05/16)

アトピー性皮膚炎への新規外用薬、既存薬と比較~メタ解析(2025/05/16)

CT検査による将来のがんリスク、飲酒や過体重と同程度?(2025/05/16)

アリピプラゾール持続性注射剤の治療継続に影響する要因(2025/05/16)

“スマートシャツ”で心臓病を予測(2025/05/16)

子宮頸がんワクチンの接種率は近隣の社会経済状況や地理に関連か(2025/05/16)
[ あわせて読みたい ]
救急エコー最速RUSH! (2017/07/07)
長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3(2017/06/07)
Dr.水野のうたう♪心音レクチャー (2017/05/07)
Dr.宮本のママもナットク!小児科コモンプラクティス (2017/04/07)
Dr.たけしの本当にスゴい症候診断3 (2017/04/07)
Dr.香坂のアカデミック・パスポート 「文献の引き方」から「論文の書き方」まで (2017/03/07)
Dr.林の笑劇的救急問答12<下巻>(2017/02/07)
Dr.林の笑劇的救急問答12<上巻>(2016/10/07)