近見視力障害の非矯正者は35歳以上で約半数:中国

提供元:ケアネット

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公開日:2017/04/06

 

 中国・中山大学のXiaotong Han氏らは35歳以上の中国人成人について、近見視力低下・障害の進行および発生率を前向き試験で調査した。その結果、非矯正の両眼近見視力障害(UCNVI)の人は6年で約半数であったこと、その大半は眼鏡で矯正可能などの実態を報告した。検討結果を踏まえて著者は、「これらリスク集団に眼鏡を提供するという費用対効果が高いと考えられる戦略について、さらに検討する必要がある」と述べている。Ophthalmology誌オンライン版2017年3月20日号掲載の報告。

 研究グループは、広州市越秀区の35歳以上の住民を対象に、都市部住民の初回視力検査後6年間の近見視力低下の進行、および近見視力障害(NVI)の累積発生率を調べた。被験者は、検査をベースラインで受け、2年後(2010年)、6年後(2014年)にフォローアップ検査を受けた。

 検査は、非調節麻痺薬点眼によるオートレフラクトメーター測定と、LogMAR ETDRS(Eチャート表使用)を用いて40cmの距離で両眼近見視力(NVA)を測定した。非矯正両眼近見視力(UCNVA)が20/40以下であった人は、両眼最高矯正近見視力(BCNVA)を得る自覚的屈折矯正を受けた。

 主要評価項目は、ベースラインと2014年フォローアップ時のUCNVAの変化、および3つの視力障害区分(20/40以下、20/50以下、20/63以下)ごとの6年間の視力障害の累積発生率とした。

 主な結果は以下のとおり。

・被験者は1,817例であった。このうちフォローアップ検査を2010年に受けたのは1,595例(87.8%)、2014年は1,427例(78.5%)であった。
・ベースライン時から2014年までの平均視力低下は、UCNVAで1.54(±1.74)linesであった。
・視力低下は、80歳以上、低学歴、ベースラインのUCNVA良好と関連した。
・3区分別にみた6年間のUCNVI累積発生率は、20/40以下群が55.2%(95%信頼区間[CI]:46.1~64.3)、20/50以下群51.3%(同:44.0~58.7)、20/63以下群42.4%(同:35.5~49.3)であった。
・また、両眼の最高矯正NVI(BCNVI)の発生率は、それぞれ6.89%(95%CI:4.28~9.50)、5.17%(同:2.89~7.44)、2.62%(同:1.11~4.12)であった。
・UCNVIの発生率の高さは、3区分ともにベースラインのUCNVAが不良であることと関連していた。同様に、BCNVIの発生率は、ベースラインのBCNVA不良と関連していた。また、高年齢や初等教育またはそれ以下の就学状況とも関連していた。性別は、UCNVIおよびBCNVIともに有意な関連はみられなかった。

(ケアネット)