増殖性硝子体網膜症へのデキサメタゾンの有用性

提供元:ケアネット

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公開日:2017/03/16

 

 徐放性デキサメタゾン硝子体内インプラントは、増殖性硝子体網膜症(PVR)の硝子体手術後のアウトカムを改善するのか。英国・Moorfields Eye HospitalのPhilip J Banerjee氏らによる140例を対象とした前向き無作為化試験の結果、主要評価項目とした解剖学的改善を示した患者割合は、標準ケア群と同程度で有意差は示されなかった。試験結果を踏まえて著者は、「さらなる臨床試験によって解剖学的および視覚的アウトカムの改善が示唆されている。一方で、今回の試験では徐放性デキサメタゾン投与を受けた手術眼では、6ヵ月時点で嚢胞様黄斑浮腫(CMO)がより少なかったことが示された」としている。Ophthalmology誌オンライン版2017年2月22日号掲載の報告。

 試験は単施設で2年間にわたって、被験者および手術担当医とも盲検下で行われた。被験者は、PVRの確定診断(Grade C)で網膜剥離のためシリコンオイルを注入しての硝子体手術が必要とされた140例。無作為に標準治療(対照)群と試験治療併用(補助的治療)群に1対1の割合で割り付け、補助的治療群には、(1)硝子体手術時と(2)シリコンオイル抜去時に徐放性デキサメタゾン(商品名:Ozurdex、米アラガン社)0.7mgを注入した。

 主要評価項目は、6ヵ月時点で評価した、硝子体手術再施行がなくシリコンオイルも除去し網膜の再付着が安定していた患者の割合とした。副次評価項目は(1)最終的な視力(中央値とEarly Treatment Diabetic Retinopathy Study[ETDRS]で55 letters超)、(2)CMO、中心窩網膜厚、黄斑網膜厚、(3)明らかなPVR再発、(4)完全かつ後極部網膜の再付着、(5)牽引性網膜剥離、(6)低/高眼圧症、(7)黄斑パッカー/網膜上膜、(8)白内障、(9)QOLなどであった。

 主な結果は以下のとおり。

・140例は、試験開始から25ヵ月以内の参加であった。このうち138例について主要評価項目のデータが得られた。
・主要評価項目の解剖学的改善を満たした患者の割合は、補助的治療群49.3%、対照群46.3%で、両群間で同程度であった(オッズ比:0.89、95%信頼区間[CI]:0.46~1.74、p=0.733)。
・6ヵ月時点の視力の平均値は、補助的治療群38.3 ETDRS letters、対照群40.2 lettersであった。
・副次評価の解剖学的アウトカム(完全かつ後極部網膜の再付着、PVR再発)は、両群で類似していた。
・6ヵ月時点で、対照群と比較して補助的治療を受けた患者は、CMOが有意に少なく(42.7% vs.67.2%、p=0.004)、中心窩網膜厚>300μmの患者も有意に少なかった(47.6% vs.67.7%、p=0.023)。

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(ケアネット)