抗PD-1抗体キイトルーダ発売:悪性黒色腫とNSCLCに

提供元:ケアネット

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公開日:2017/02/17

 

 根治切除不能な悪性黒色腫およびPD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの効能・効果で承認を取得している抗PD-1抗体ペムブロリズマブの発売が2017年2月15日、MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン)から発表された。商品名はキイトルーダ点滴静注20mgおよびキイトルーダ点滴静注100mg。

 この販売開始に伴い、MSDが薬価基準収載までの期間に限り実施していたペムブロリズマブの無償提供は終了する。

肺がんにおけるペムブロリズマブ
 PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の未治療非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第III相臨床試験(KEYNOTE-024試験)および既治療非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第II/III相臨床試験(KEYNOTE-010試験)において、有効性および安全性が示された。PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する初回治療(PD-L1高発現)患者および既治療(PD-L1発現)患者に使用可能な抗PD-1抗体となる。

悪性黒色腫におけるペムブロリズマブ
 根治切除不能な悪性黒色腫患者を対象とした海外第II相試験(KEYNOTE-002試験)、海外第III相試験(KEYNOTE-006試験)および国内第I相試験(KEYNOTE-041試験)において、有効性および安全性が示された。

 また、ペムブロリズマブの治療対象となる非小細胞肺がんのPD-L1高発現(TPS≧50%)の未治療患者、および治療歴のあるPD-L1発現(TPS≧1%)患者を特定するコンパニオン診断薬 PD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」は、2016年11月25日に本邦での承認を取得している。

※TPS:Tumor Proportion Score 腫瘍細胞のうちPD-L1発現陽性細胞の割合

 ペムブロリズマブは、米国を含む50ヵ国以上で承認を取得しており、世界では30を超えるがん種に対し約400の臨床試験が進行中。本邦では、2015年10月27日に、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する効能・効果について、厚生労働省から先駆け審査指定制度の対象品目に指定されている。2016年12月22日には、再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する効能・効果について製造販売承認事項一部変更承認申請を行っている。さらに、膀胱がん、乳がん、胃がん、頭頸部がん、肝がん、多発性骨髄腫、食道がん、腎細胞がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中である。

MSD株式会社のニュースリリースはこちら

(ケアネット 細田 雅之)