人工網膜システム、移植から5年後の機能と安全性

提供元:ケアネット

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公開日:2016/08/25

 

 人工網膜システム「Argus II」(Second Sight Medical Products社)は、網膜色素変性症や網膜外層変性で失明した患者の視覚を回復させるために開発された。小型カメラとビデオプロセッサを搭載したメガネをかけ、カメラで捉えた映像を電気信号に変換して人工網膜に送信することで、視覚が得られる。今回、英国・ロンドン大学のLyndon da Cruz氏らは、Argus II移植後5年の臨床試験成績を報告。Argus IIの長期安全性および有効性が確認されたことを明らかにした。Argus IIは、世界初の網膜インプラントとして欧州、米国およびカナダで承認されている。Ophthalmology誌オンライン版2016年7月19日号の掲載報告。

 研究グループは2006年、米国および欧州の10施設においてArgus IIの長期安全性および有効性を検討する臨床試験を開始した。対象は、失明した末期網膜色素変性症患者30例で、片眼にArgus IIを移植し、非移植他眼およびArgus IIシステムオフ時の残存視覚をシステムオン時の視覚機能と比較した。

 主要評価項目は、安全性(有害事象の件数、重大性および関連性)と、コンピュータによる客観的な3つの検査で測定される視機能であった。

 主な結果は以下のとおり。

・30例中24例が、移植5年後もArgus IIを使用していた。
・移植3年後以降に認められた重篤な有害事象は1件のみであった。
・すべての視機能検査および視力評価は、Argus IIシステムオフ時に比べオン時で有意に良好であった。

(ケアネット)