高齢がん患者、認知機能障害だと2年死亡率が6倍

提供元:ケアネット

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公開日:2016/08/12

 

 高齢がん患者でがん治療開始時に認知機能障害であった場合、生存率にはどのくらい影響するのだろうか。ベルギー・ブリュッセル自由大学のYves Libert氏らは、縦断的な2年間の追跡調査により、認知機能障害のある高齢患者はそうでない患者に比べ、がん治療開始後の2年間で死亡するリスクが6倍であったことを報告した。著者らは、高齢患者の罹患率と死亡率を減らすための介入ができるように、がん治療開始時に認知機能障害についてスクリーニングすべきとしている。PLOS ONE誌2016年8月1日号に掲載。

 認知症は、高齢がん患者における生存期間短縮の予測因子として知られている。しかし、がん治療開始時における認知機能障害が、高齢患者の生存期間をどの程度短縮するのかを評価する実証的エビデンスはない。今回、著者らは、乳がん、前立腺がん、大腸がんの手術のために入院した65歳以上の患者について、プロスペクティブに357例を連続して登録した。認知機能障害はMontreal Cognitive Assessment(MoCA)26未満とし、社会人口統計学的、疾患関連、および高齢による脆弱性は検証ツールを用いて評価した。診断(乳がん/前立腺がん vs.大腸がん)および疾患状態(非転移 vs.転移)で層別化した単変量および多変量Cox比例ハザードモデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・患者の46%(163例)に認知機能障害が認められた。

・認知機能障害(HR:6.13、95%CI:2.07~18.09、p=0.001)、手段的自律性の低下(IADLスコア7以下)(HR:3.06、95%CI:1.31~7.11、p=0.009)、疲労(Mob-Tスコア5未満)(HR:5.98、95%CI:2.47~14.44、p<0.001)が、生存期間に有意に影響していた。

(ケアネット 金沢 浩子)