認知症者の向精神薬使用実態と精神症状発現状況

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 認知症者における精神症状と向精神薬の使用率との関連について、米国・ミシガン大学のDonovan T Maust氏らが検討を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2016年2月18日号の報告。

 対象は、米国高齢者の代表的な全国調査(Aging, Demographics, Memory Study)に参加した70歳超の認知症者414例。認知症の診断は、臨床評価とインフォーマントインタビューに基づいた。収集された情報には、人口統計学、居住地、10項目のNPI(Neuropsychiatric Inventory)、処方薬(抗精神病薬、催眠鎮静薬、抗うつ薬、気分安定薬)が含まれていた。

 主な結果は以下のとおり。

・認知症者414例の41.1%、特別養護老人ホーム入所者のうち84.0%、地域在住者のうち28.6%に向精神薬が処方されていた。
・対象者の23.5%に抗うつ薬が処方されていた。
・薬物治療未実施者の総NPIスコア(4.5)と比較して、抗精神病薬使用者(12.6、p<0.001)、催眠鎮静薬使用者(11.8、p=0.03)はスコアが高かったが、抗うつ薬使用者(6.9、p=0.15)では高くなかった。
・抗精神病薬使用者の多くは、薬物治療未実施者と比較し、精神症状や興奮を呈していた。また、抗うつ薬使用者は、抑うつ症状を呈する傾向が高かった。
・認知症重症度、特別養護老人ホーム入所を加味した多変量ロジスティック回帰分析によると、特別養護老人ホーム入所が向精神薬使用と最も強く関連する特徴であった[オッズ比:抗精神病薬の8.96(p<0.001)~催眠鎮静薬の15.59(p<0.001)]。
・強い精神症状および興奮は抗精神病薬使用と関連し、強い不安および興奮は催眠鎮静薬使用と関連していた。
・強い抑うつ症状および無気力と、抗うつ薬使用との関連はみられなかった。

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(鷹野 敦夫)

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