ランナーにおける腸脛靱帯症候群のバイオメカニクス

提供元:ケアネット

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公開日:2015/12/08

 

 ランニング障害で2番目に多いのが腸脛靱帯症候群である。この10年、徐々に発生頻度が増加してきており注目されている。最後のシステマティックレビュー以降、さらに6報の論文が発表された。南アフリカ・ステレンボッシュ大学のJodi Aderem氏らは最新のシステマティックレビューを行い、ランナーの腸脛靱帯症候群に関連する体幹、骨盤および下肢のバイオメカニクス的なリスク因子を明らかにした。著者は、「研究数が限られており、効果量は小さく、方法論的な問題など多くの限界がある」と断ったうえで、「今回の結果は、臨床的な判断を導くため、そして、腸脛靱帯症候群の原因やリスクについて今後さらなる研究を計画するための、入手可能な最良のエビデンスの集約である」とまとめている。BMC Musculoskelet Disorders誌オンライン版2015年11月16日号の掲載報告。

 研究グループは、電子データベースを用い2015年4月までに発表された関連文献を検索した。適格基準を満たした研究について方法論的質を評価するとともに、バイオメカニクス的なデータ要約のためのフォレストプロットを作成した。

 また、エビデンスレベルおよび臨床的影響をリスク因子ごとに評価。可能な場合はメタ解析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・13件の研究がレビューに組み込まれた(前向き研究1件、横断研究12件)。
・研究の方法論的質は全体として中等度であった。
・腸脛靱帯症候群を発症し始めている靴をはいた女性ランナーは、立脚期の股関節最大内転角度の増加および膝関節最大内旋角度の増加を呈した。
・腸脛靱帯症候群を有する靴をはいた女性ランナーは、立脚期の膝関節内旋角度と体幹同側回旋角度の増加を呈した。

(ケアネット)