アルツハイマー病へのBZD、使用頻度の追跡調査 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/12/03 ベンゾジアゼピンおよび関連する薬剤(BZDR)は、アルツハイマー病(AD)の特定の症状を治療するために用いられることがある。しかし、高齢者ではBZDR使用に関連するリスクが高くなる。ADに対するBZDR使用についての報告はしばしばあるが、先行研究は、ADに対するBZDR使用の頻度に焦点を当てたものではなかった。東フィンランド大学のLaura Saarelainen氏らは、ADの有無別にBZDRの使用頻度について、5年間の追跡調査を行った。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2015年10月17日号の報告。 対象は、フィンランド全土のレジスタベースMEDALZコホートより得られた2005~11年にADの臨床的診断を受けたすべてのAD症例7万718例、およびそれにマッチさせた対照者。ベンゾジアゼピン(ロラゼパム、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、ニトラゼパム、oxazepam、temazepam)およびZ薬(ゾルピデム、ゾピクロン)を含むBZDRの使用頻度を、AD診断2年前~診断3年後のコホートより調査した。さらに、BZDR処方開始についても調査した。 主な結果は以下のとおり。 ・AD患者におけるBZDRの使用頻度は、AD診断12ヵ月前から高くなり、AD診断6ヵ月後でピークを迎えた(発生率比[IRR]:2.6、95%CI:2.5~2.8)。 ・ベンゾジアゼピンは、AD患者でより頻繁に開始されており、AD診断後6ヵ月の時点で使用頻度はピークに達し(IRR:4.5、95%CI:4.1~4.9)、対照者と比較し診断3年後まで3倍以上高かった。 結果を踏まえ、著者らは「BZDRによる早期対症療法は、AD治療ガイドラインに反している。BZDR早期治療により認知機能が損なわれることから、AD治療の有用性モニタリングが複雑化している可能性がある」とまとめている。 関連医療ニュース ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は 長期ベンゾジアゼピン使用は認知症発症に影響するか アルツハイマー病へ進行しやすい人の特徴は 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Saarelainen L, et al. J Alzheimers Dis. 2015 Oct 17. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 心房細動の生涯リスク、直近10年で増加/BMJ(2024/05/03) アルツハイマー病に対するレカネマブ10mg/kg隔週投与の有効性と安全性~メタ解析(2024/05/03) 小さな子どもとの接触は高齢者の肺炎リスクを高める?(2024/05/03) 若い頃の不安定な勤務形態が中年期の健康悪化に関係か(2024/05/03) 世界中でがんによる死亡者数は増加傾向(2024/05/03) 緑内障は「幸福と感じていない」ことと関連、特に男性で顕著(2024/05/03) ペット型ロボットが血液内科の無菌室で活躍(2024/05/03) [ あわせて読みたい ] 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)