多裂筋への脂肪浸潤は腰痛の予測因子になる?

提供元:ケアネット

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公開日:2014/06/18

 

 腰痛は疾病負担の主な原因であるが、腰痛の生物学的な決定因子はほとんど解明されていない。オーストラリア・マードック大学のJeffrey J Hebert氏らは、9年間の前向きコホート研究を行い、慢性腰痛発生の予測における腰椎多裂筋への脂肪浸潤の役割を検討した。しかし、脂肪浸潤と腰痛/下肢痛との関連に一貫性は認められなかった。この結果について著者は、「年齢でその関連が変化するようだ」と推察している。Spine誌オンライン版2014年5月22日の掲載報告。

 検討は、デンマーク国内からランダムに選ばれた40歳の成人を対象に行われた。

 登録時(40歳時)、5年後および9年後にMRIを施行し、T1強調画像からL4およびL5における脂肪浸潤の最大割合を計測して、多裂筋への脂肪浸潤を3段階(重度、中等度、軽度)で評価した。併せて腰痛歴、前年の腰痛、前年の重度の腰痛、下肢放散痛の既往歴について調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・401例が登録され、5年時点で331例(83%)が、9年時点では286例(71%)がフォローアップを受けた。
・40歳時、重度の脂肪浸潤を有した被験者は、腰痛の既往(調整オッズ比[aOR]、95%信頼区間[CI]:3.16、1.45~6.89)、重度の腰痛(同:2.82、1.36~5.81)、前年の腰痛(同:1.95、1.07~3.53)、下肢痛(同:2.08、1.19~3.62)が多かった。
・しかし45歳時および49歳時の評価において、腰痛/下肢痛と多裂筋脂肪浸潤の間に一貫した所見はみられず、多裂筋脂肪浸潤は腰痛の予測因子ではなかった。

(ケアネット)