日本発、統合失調症大規模臨床試験スタート:東京女子医大

わが国において第二世代抗精神病薬(SGA)が臨床応用されるようになって17年、現在の統合失調症治療ではSGAを中心とした薬物治療が行われている。海外では各種SGAの長期的な有用性や転帰、社会的機能などに関して報告されているが、日本では大規模な研究は行われていない。東京女子医科大学の石郷岡 純氏らは、日本の医療環境下におけるSGAの治療中止率などを評価するため、JUMPs(Japan useful medication program for schizophrenia)試験を開始した。BMC Psychiatry誌2013年10月3日号の報告。
新規抗精神病薬の開発臨床試験(有効性試験)では、多くの場合、対象患者が限定される傾向にある。さらに、有効性試験では、短期間の精神症状スコアの変化と副作用が独立して評価される。このような試験結果を日常診療で一般化することは難しい。だが、統合失調症の長期的治療目標は、患者の社会活動を含むQOLの改善である。こうした中、長期転帰に関する有効性の検証がますます重要になってきている。
欧米諸国では、オランザピンやリスペリドン、他のSGA、第一世代抗精神病薬(FGA)と比較した研究が蓄積されている。しかし、日本においては、まだ大規模な有効性試験は行われていない。また、近年発売されたアリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドンによる長期転帰に関するデータは十分でない。そこで、著者らはこれら3剤の長期的な有効性を検討するため、JUMPs試験を実施することとした。
主な試験概要は以下のとおり。
・本研究は、日本の医療環境下における、SGAの長期的な有用性を検討するためのオープンラベル多施設共同無作為化比較試験。
・対象は、3剤の経口薬(アリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドン)のうちいずれかで104週間治療を実施した20歳以上の統合失調症患者(他剤からの切り替え症例を含む)。
・目標症例数300例。
・一次エンドポイントは、任意の原因による治療中止率。二次エンドポイントは寛解率、社会活動の改善、緩和、精神症状の悪化や再発、安全性。
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(ケアネット 鷹野 敦夫)
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