関節への培養幹細胞注入は安全

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/06

 

 整形外科領域において、関節病変に対する幹細胞治療が期待されている。筋骨格系障害は非致命的な疾患であるため、幹細胞治療は安全性が必要条件となるが、オランダ・エラスムス大学医療センターのC.M.M. Peeters氏らはシステマティックレビューにより、関節への培養幹細胞注入は安全であることを報告した。潜在的な有害事象に十分注意しながら、幹細胞の関節内注入療法の開発を続けることは妥当と考えられる、と結論している。Osteoarthritis and Cartilage誌2013年10月号(オンライン版2013年7月4日号)の掲載報告。

 システマティックレビューは、PubMed、EMBASE、Web of ScienceおよびCINAHLを用い、2013年2月までに発表された培養増殖幹細胞の関節内注入療法に関する論文を検索して行った。

 条件を満たした論文は8本特定され、合計844例の有害事象を解析した(平均追跡期間21ヵ月間)。

 主な結果は以下のとおり。

・すべての研究で、軟骨修復および変形性関節症の治療のために自家骨髄間葉系幹細胞が使用されていた。
・重篤な有害事象は4例報告された。骨髄穿刺後の感染症1例(おそらく関連あり、抗菌薬で回復)、骨髄穿刺2週後に発生した肺塞栓症1例(おそらく関連あり)、腫瘍2例(2例とも注入部位とは異なる場所に発生、関連なし)。
・治療に関連した有害事象は、ほかに22例報告され、うち7例が幹細胞生成物と関連ありとされた。
・治療に関連した主な有害事象は、疼痛や腫脹の増加と骨髄穿刺後の脱水であった。
・疼痛や腫脹の増加は、幹細胞生成物と関連ありと報告された唯一の有害事象であった。
・以上を踏まえて著者は、「直近の文献レビューの結果、関節病変に対する幹細胞治療は安全であると結論する」と述べ、「潜在的な有害事象への注意は引き続き必要と考えるが、幹細胞の関節内注入療法の開発を続けることが妥当と考えられる」とまとめている。

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(ケアネット)