MRSA陽性の皮膚・軟部組織感染症患者、4分の1がMSSAに移行

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/05

 

 皮膚・軟部組織感染症(SSTI)でかつメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)陽性患者のうち、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)に移行する患者が顕著な頻度で存在することが、米国・オレゴン健康科学大学のAnisha B. Patel氏らによる外来・入院該当患者の後ろ向き調査研究の結果、明らかになった。215例のうち25.6%がMSSAに移行していたという。JAMA Dermatology誌2013年10月号の掲載報告。

 外来でのMRSA感染患者の増加は、MRSAに対する経験的抗菌薬治療のさらなる増加をもたらしているが、有効な経口抗菌薬は限られていること、またさらなる耐性菌への懸念から、同治療傾向については議論の的となっている。

 そこで研究グループは、MRSA SSTI患者のMSSAへの移行率を調べることを目的とし、同大学病院およびクリニックの入院・外来患者の医療記録を後ろ向きにレビューした。

 2000年1月1日~2010年12月31日の間に、MRSA陽性SSTIであったが、その後1ヵ月以降に黄色ブドウ球菌の SSTIが培養で証明されていた患者のデータを対象とした。社会人口統計学的制限は設けなかった。本調査は最低200例を被験者とすることを条件とした。

 主要評価項目は、SSTI患者がMRSA陽性のままであったかMSSAに移行したかどうかであった。

 主な結果は以下のとおり。

・データベースを遡って1,681例の患者の医療記録をレビューした。そのうち215例が試験基準を満たした。
・215例のうち64例(29.8%)が、少なくとも1回はMSSAに移行していた。移行後の試験期間中MSSAであった患者は55例(25.6%)であった。
・MSSAへの移行を増減する因子についても調べた結果、侵襲的処置ありが唯一、MRSA陽性のままとする、統計的に有意なリスク因子であった(相対リスク:1.20、95%CI:1.02~1.41、p=0.03)。
・以上から、MRSA SSTI患者は、その後MSSA SSTIに顕著な頻度で移行する能力を有していることが示された。
・MRSAリスク因子に関するさらなる検討と、それらリスク因子のその後の感染への影響が、経験的治療を行う際に役立つ可能性がある。
・MRSA陽性であった患者において新たな感染を認めた場合は、黄色ブドウ球菌は変化するということを認識しながらの治療戦略を慎重に行う必要がある。

(ケアネット)