皮膚がん生検までの期間を短縮:テレダーマトロジー

提供元:ケアネット

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公開日:2013/10/31

 

 米国・エモリー大学のEstelle Kahn氏らは、頻度の高いタイプの皮膚がんの生検までの時間について、従来方法での紹介と比べてテレダーマトロジー(遠隔皮膚診断)による紹介法により短縮されるかを調べた。その結果、有意に短縮されたことが明らかになったことを報告した。Telemedicine Journal and e-Health誌2013年10月号の掲載報告。

 検討されたテレダーマトロジーは、米国を代表する健康維持機構(HMO)、北カリフォルニア・カイザーパーマネンテのStore-and-Forward Teledermatology Referral Programであった。同プログラムと、カリフォルニア・セントラルバレー・カイザーパーマネンテの従来皮膚科紹介プログラムの、陽性皮膚がん生検の7ヵ月間の実施状況について、後ろ向きにカルテのレビューを行った。

 対象には、セントラルバレーにあるカイザーパーマネンテ・ストックトンメディカルセンターの4つのプライマリ・ケア施設が含まれた。また、皮膚扁平上皮がん、基底細胞がん、悪性黒色種の治療を受けた患者を対象とした。

 各皮膚がんの事前評価から生検までの期間を、プライマリ・ケアからの紹介がテレダーマトロジーであった群と従来法であった群とで比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・試験適格となった患者症例は、293例であった。そのうち、58%が従来紹介群、42%がテレダーマトロジー群であった。
・皮膚がん生検までの平均期間は、従来紹介群13.8日(中央値12.0日)であったのに対し、テレダーマトロジー群は9.7日(中央値9.0日)で、有意差が認められた(p<0.0001)。
・結果を踏まえて著者は、「遠隔地におけるテレダーマトロジーの利用は、従来紹介法よりも生検までの時間短縮に結びつく。またトリアージ(緊急度判定)の改善ももたらすものである」と結論している。

(ケアネット)